「塗り替えにアスベストは関係ない」は本当?請負100万円から報告が要る、外壁の事前調査
皆さま、こんにちは!株式会社KYOEIです。
9月に入り、秋の外壁塗装に向けた見積もりが2社から届いた。並べてみると、片方にだけ「石綿(アスベスト)事前調査」という行があります。もう1社にはありません。うちは吹き付けのアスベストが使われるような建物ではないはずだから、要らない費用が乗っているのだろう。そう考えて、行のないほうへ気持ちが傾きます。
堺市内から、この形の相談が届きます。
傾く前に見てほしいものがあります。条文です。その行があるかどうかは、見積もりの丁寧さの差というより、法律が元請業者に負わせた義務を書き出したかどうかの差です。
先に答えを書きます
下地の補修を伴う外壁の塗り替えは、大気汚染防止法がいう「解体等工事」に入ります。着工前の調査は、工事の規模や金額にかかわらず要ります。
2021年4月からは、吹き付け材に限らず、外壁の仕上塗材や下地調整材も規制の対象です。請負代金の合計が100万円以上の改修工事なら、堺市への報告も要ります。そして調査の費用を負担するのは、条文のうえでは工事を頼んだ側です。
「解体しないから関係ない」で止まるのは、条文の1行目です
大気汚染防止法の第18条の15第1項は、こう始まります。
建築物等を解体し、改造し、又は補修する作業を伴う建設工事(以下「解体等工事」という。)の元請業者(発注者(解体等工事の注文者で、他の者から請け負つた解体等工事の注文者以外のものをいう。以下同じ。)から直接解体等工事を請け負つた者をいう。以下同じ。)は、当該解体等工事が特定工事に該当するか否かについて、設計図書その他の書面による調査、特定建築材料の有無の目視による調査その他の環境省令で定める方法による調査を行うとともに、環境省令で定めるところにより、当該解体等工事の発注者に対し、次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面を交付して説明しなければならない。
大気汚染防止法 第18条の15第1項
括弧が長いので、骨だけ抜きます。解体し、改造し、又は補修する作業を伴う建設工事の元請業者は、書面と目視で調べ、発注者に書面を渡して説明しなければならない。
「解体し」のすぐ隣に「補修する」が並んでいます。外壁の塗り替えでは、塗る前にひび割れを埋め、シーリングを打ち替え、浮いた塗膜を落とします。これが補修です。足場を組んで塗るだけの工事に見えても、条文の側から見れば解体工事と同じ枠に入っています。
この条文には、金額の下限も面積の下限もありません。
見積もりの場でよく出る「100万円」は、調査そのものではなく、調査の結果を役所へ報告する義務のほうの数字です。100万円に届かない工事でも、調査は要ります。
吹き付けだけの話ではありません。外壁の塗材そのものが対象です
堺市は、大気汚染防止法の改正内容を市のサイトで整理しています。令和3年(2021年)4月1日の施行分で、規制の対象が「全ての石綿含有建材」に広がりました。それまで対象だったのは、吹付け石綿と石綿含有断熱材、保温材、耐火被覆材です。ここに石綿含有成形板、セメント管、押出成形品、仕上塗材、下地調整材などが加わりました。
仕上塗材は、外壁の表面に凹凸の模様を付ける材料です。下地調整材は、その下でコンクリートやモルタルの面をならす材料。どちらも、塗り替えのときに削ったり剥がしたりする層です。
石綿を含むかどうかの線は、重量の0.1%を超えるかどうかで引かれます。
年代の目安は規則の側に書かれています。大気汚染防止法施行規則の第16条の5は、書面と目視の両方で調べることを原則としたうえで、平成18年(2006年)9月1日以後に設置の工事に着手した建築物等を、その原則から外しました。裏を返すと、それより前に建った建物は、図面を見るだけでは終わりません。
泉北ニュータウンのように供給の時期がまとまっている地域では、棟がそろってこの線の手前に並びます。私たちが手がけた柏里第2住宅5・6号館外壁改修その他工事や大国住宅1号館外壁部分改修その他工事のような住宅も、年代でいえば同じ側です。
調べる人にも資格が要ります。2023年10月から
施行規則の第16条の5は、調査の方法を3つに分けています。
1つ目は、設計図書などの書面による調査と、石綿を含む建材があるかどうかの目視による調査。2つ目は、その調査を「当該調査を適切に行うために必要な知識を有する者として環境大臣が定める者」に行わせること。3つ目は、書面と目視で分からなかったときに、分析による調査を行うことです。
2つ目が、令和5年(2023年)10月1日から効いています。堺市の説明では、ここでいう資格に当たるのは、一般建築物石綿含有建材調査者、特定建築物石綿含有建材調査者、そして義務付けの前までに一般社団法人日本アスベスト調査診断協会に登録されている者です。一戸建て住宅の内部の調査であれば、一戸建て等石綿含有建材調査者も含まれます。
3つ目には抜け道があるように見えます。実際には逆で、分析をしない場合は、石綿があるものとみなして必要な措置を取ることになります。調べないほうが工事は重くなります。
令和8年(2026年)1月1日からは、工作物についても有資格者による調査が義務になりました。特定工作物以外の工作物でも、塗料その他の石綿が使われているおそれのある材料を取り除く作業を伴えば対象です。塗装に近い作業が、ここでも名指しされています。
調査の費用を払うのは、工事を頼んだ側です
同じ第18条の15の、第2項です。
解体等工事の発注者は、当該解体等工事の元請業者が行う前項の規定による調査に要する費用を適正に負担することその他当該調査に関し必要な措置を講ずることにより、当該調査に協力しなければならない。
大気汚染防止法 第18条の15第2項
「協力しなければならない」の中身として、費用の適正な負担が最初に置かれています。
だから、見積書に調査の費用が立っているのは正しい姿です。載っていない見積書は、その分だけ安いわけではありません。調査を誰の負担で、いつやるつもりなのかが書かれていないだけです。見積書の「一式」が危ういのと、理由は同じです。
報告のほうも見ておきます。堺市によると、報告が要るのは、解体部分の床面積が80平方メートル以上の建築物の解体工事、工事に係る請負代金の合計が100万円以上の建築物の改修工事、そして工事に係る請負代金の合計が100万円以上の工作物の解体・改修工事です。外壁の塗り替えは、多くの場合2つ目に入ります。
報告するのは元請業者か自主施工者で、事前調査のあと速やかに、遅くとも着工する前までに出します。窓口は、堺市内の工事なら堺市。石綿事前調査結果報告システムを使えば、労働安全衛生法にもとづく石綿障害予防規則の報告と、大気汚染防止法にもとづく報告を、まとめて出せます。調査の記録は3年間保存します。
着工前に、手元の見積書を開いてください
見る箇所は3つあります。石綿の事前調査の費用が項目として立っているか。調査を誰が行うのか、資格の名前まで書いてあるか。そして建物が建った時期が2006年9月より前なら、書面だけで済ませる段取りになっていないか。
石綿は、見つかった時点で工事が止まる材料ではありません。見つけたうえで、削り方と養生の仕方を決めるための材料です。順番が入れ替わると、足場を組んだ後で工程を組み直すことになります。
株式会社KYOEIは大阪府堺市西区堀上緑町2-2-15にあり、堺市7区と大阪府南部で大規模修繕、外壁塗装、防水工事、雨漏り修理を請けています。図面が手元になくても、壁を見せてもらえれば年代の見当は付きます。見積もりの段階で、調査をどこにどう組み込むかまで書いて出します。電話は072-349-3278です。