「防水工事は雨の日だけ休めばいい」は本当?屋上のウレタン防水が『晴れた日の夕方』にも手を止める理由
皆さま、こんにちは!株式会社KYOEIです。
ビルの屋上で防水工事が始まって1週間。雨は一度も降っていないのに、職人が昼過ぎに片づけを始めて帰っていった日がありました。工程表を見ると、予定より2日遅れています。雨の日に休むのは分かる。でも晴れているのに、なぜ止まるのか。オーナーや管理組合の担当者から、秋から冬にかけてよく聞く疑問です。
この記事を読むと、防水工事が雨で止まる範囲が、降っている時間よりずっと広い理由と、工事の途中で雨が来たときに屋上で何が起きているかが分かります。
先に答えを書きます
屋上やベランダのウレタン塗膜防水について、メーカーは、塗っている最中だけでなく、塗った膜が固まるまでのあいだに雨や夜露に当たるおそれがあるなら施工を控えるよう求めています。夜の気温が下がる季節は結露が増えるため、晴れた日でも午後からの塗布には注意が要ります。雨のあとは下地が乾くまで待ち、塗った層が濡れたら清掃とプライマーの塗り直しが入ります。工程表の予備日と、雨のあとの再開の決め方は、契約の前に確かめておくのが安全です。
防水工事は「降っている時間」だけ止まるわけではない
ウレタン塗膜防水は、液状の材料を屋上に塗り、固まらせてゴムのような膜にする工法です。2成分形の材料なら、主剤と硬化剤を現場で混ぜてから塗ります。継ぎ目のない膜ができる一方で、固まりきるまでは水に弱い状態が続きます。
シーカ・ジャパンは、ウレタン防水材「Sikalastic-727」のカタログ(2025年11月版)の施工上の注意事項で、ウレタンやプライマー、トップコートの施工中、または硬化養生中に降雨や夜露などの水分にさらされる可能性がある場合は施工を控えるよう書いています。硬化養生とは、塗ったあと膜が固まるのを待つ時間のことです。とくに水系の材料は、気温によって硬化時間が大きく変わると注意を添えています。
止まるかどうかを決めるのは、朝の空ではありません。塗ったあと膜が固まるまでの数時間から夜にかけて、雨や露が来るかどうかです。午後から雨の予報が出ていれば、朝は晴れていても塗らない日があります。
膜は1回で仕上がりません。
同じカタログでは、1回に塗れる量の上限を1平方メートルあたり1.8kgとしています。露出で仕上げる工法の例を見ると、プライマーを塗り、ウレタンを1.3kg、1.2kg、1.2kgと3回に分けて重ね、最後にトップコートを塗る5つの工程です。1回ごとに固まるのを待って次を重ねるため、工程の数だけ、雨や露を避けたい時間帯が生まれます。工期が天気に左右されやすいのは、このためです。
晴れた日でも、夕方を前に手を止めるのはなぜか
同じ注意事項には、夜間の気温が下がる時季は結露が生じることが多くなる、と書かれています。既存の防水層に断熱板が入っている屋上や、湖や川の近くの現場も同じです。そのうえで、トップコートの「艶引け」を避けるため、午後からの塗布作業には十分注意するよう求めています。艶引けは、乾いて固まる前に水分の影響を受け、表面の艶が失われる現象だと説明されています。
堺の観測値で、この時期の湿度の動きを見てみます。気象庁 堺観測所の2025年11月22日は、1日を通して降水がなく、よく晴れた日でした。それでも明け方の6時は、気温5.9℃に対して露点が5.0℃、湿度は94%です。露点は、空気中の水蒸気が水滴に変わり始める温度で、気温との差は1℃もありませんでした。
日中は湿度が下がり、14時には41%でした。ところが日が傾くと戻り始め、16時に46%、17時に61%、19時には77%まで上がっています。
昼に塗った膜が固まりきる前に、夕方の湿気と夜の露がやってくる。午後の作業を早めに切り上げる日があるのは、この順番を避けるためです。
11月の堺は、雨そのものは多くありません。平年の降水量は74.6mmで、9月の139.0mm、10月の139.3mmの半分ほどです。2025年11月の降水量は31.5mmで、雨が記録された日は5日でした。一方で、日最低気温の平年値は8.4℃まで下がります。秋が深まると、工事を止める理由は雨から夜の湿気へと移っていきます。
雨が上がっても、翌朝すぐに再開できないのはなぜか
雨がやんでも、屋上の下地はしばらく水を含んでいます。
同じカタログは、改修工事の下地について、高圧水洗浄のあとは十分に乾燥させるよう求めています。既存の防水層の上にコンクリートを打った保護防水の屋上では、そのコンクリートの中に水分が残っているため、冬の施工ではとくに注意し、できる場合は洗浄の代わりに機械で表面を削るよう書いています。下地に残った水分が防水層を押し上げて膨れる仕組みは、通気緩衝工法と脱気筒の記事で書きました。
乾いたかどうかの確かめ方も、カタログに載っています。新築のコンクリートの場合、普通コンクリートで夏は3週間、冬は4週間程度の乾燥期間を目安にしつつ、天候や下地の構成で大きく変わるため、施工の前に次のような方法で確認するとしています。
- 高周波静電容量式の水分計で測る
- 湿気を通さないシートで床の表面を覆って周囲を密封し、翌日、シートの内側に結露した水がついていないかを見る
3週間、4週間は新築の場合の目安なので、改修工事の雨上がりにそのまま当てはめるものではありません。ただ、見た目が乾いていても中は乾いていないことがある、という前提は同じです。
塗った層が濡れた場合の手当ても決まっています。ウレタンを塗ったあとに雨や雪、夜露に当たったときや、次の層を重ねるまでの時間が接着できる時間を過ぎたときは、表面をよく清掃して層間プライマーを塗るよう求めています。層間プライマーは、古い層と新しい層の接着を助ける下塗り材です。雨が1回入るたびに、この工程が1つ増えることがあります。
工事の途中で雨が来たら、屋上はどうなっているのか
いちばん気になるのは、工事の途中で雨が降った夜に、屋上から下の階へ水が回らないかどうかでしょう。
通気緩衝工法では、ウレタンを塗る前に、下地の湿気を逃がすシートを屋上に張ります。シーカ・ジャパンは、このシート(自着シート)を張ったあと、ウレタンを塗る工程が翌日以降になる場合は、シートの端とつなぎ目に必ず雨仕舞いをするよう書いています。雨仕舞いは、雨水が入り込まないように端部を納める処置のことです。これを行わずに雨や夜露を受けると、次の工程の前に乾かす時間が長くなり、膨れや剝離の原因になるとしています。
つまり、雨の前の日にどこまで進めて、どう閉じておくかは、工程の中で決めておくことです。
契約の前に、施工会社に次のことを聞いておくと、工事中の行き違いが減ります。
- 工程表に、雨や露で止まる日をどれだけ見込んでいるか
- 工程の途中で雨が予報されたとき、端部やつなぎ目をどう雨仕舞いするか
- 雨のあと、下地が乾いたことを何で確かめてから再開するか
- 塗った層が濡れたとき、清掃や層間プライマーの処置を写真で記録に残すか
答えが具体的であれば、天気で日程が動いても、何を待っているのかが説明されるはずです。
晴れの日に止まったら、その理由を聞いてみる
防水工事が晴れた日に止まるのは、たいてい、塗った膜が固まるまでの時間に雨や夜露が重なるのを避けるためです。工事中に予定が延びたら、その日に止めた理由と、再開の条件を担当者に聞いてみてください。契約前であれば、上の4つを確かめ、工程表の予備日の考え方を書面で受け取っておくと安心です。
株式会社KYOEIは、大阪府堺市西区堀上緑町2-2-15を拠点に、堺市7区と大阪府南部で屋上やベランダの防水工事を手がけています。施工実績にはUKビル屋上防水工事を載せています。秋から冬にかけて屋上の防水を考えている方は、工程の組み方から説明しますので、072-349-3278へお電話ください。