「12年周期」は本当?国の調査が示す、大規模修繕が回を追うごとに早まる理由
皆さま、こんにちは!株式会社KYOEIです。
管理組合の理事会で修繕の話が出ると、まず聞こえてくるのが「うちはそろそろ12年だから」という言葉です。分譲マンションを購入したときに渡された長期修繕計画にも、たいてい12年周期で工事が並んでいます。
ところが国が公表している実際の工事データを見ると、この12年という数字はどこにも出てきません。それどころか、1回目と3回目では周期そのものが3年近く違っています。同じマンションの話です。
本日は、国土交通省の資料をもとに、大規模修繕の周期がいま実際にどうなっているのかをお話しします。理事会で周期の話が出たときに、根拠を持って議論できる材料になるはずです。
結論:国は「12年」と決めていません
先に答えを書きます。国土交通省が定めているのは、周期の年数そのものではありません。
国交省は「長期修繕計画標準様式・長期修繕計画作成ガイドライン」という指針を平成20年6月に作り、その後、令和3年9月と令和6年6月の2度にわたって改定しています。このうち令和3年9月の改定について、国交省は報道発表で次のように説明しました。
大規模修繕工事の周期の目安を、一定の幅のある修繕周期に変更した。
つまり、それまで単一の年数で示していたものを、幅を持たせた表現に切り替えたということです。建物の状態は立地や構造で変わるのだから、一律の年数で区切るのは実態に合わない、という判断だと読めます。
「12年」という数字が世の中に広く残っているのは、この改定前の考え方が定着したまま更新されていないからです。5年前の常識が、そのまま語り継がれています。
実際の工事は何年でやっているのか
では現場ではどうなっているのか。答えは統計に出ています。国交省が令和3年度に実施した「マンション大規模修繕工事に関する実態調査」は、200社から集めた818件の工事事例を集計したものです。
結果はこうでした。
最も多かった周期は13年。全体の約7割が12年から15年の範囲に収まっていました。
ここまでなら「だいたい12年から15年」という理解で足ります。ところが同じ調査には、もう1つ見逃せない数字が載っていました。実施回数ごとに集計した平均周期です。
回を重ねるごとに、周期は短くなっている
同調査による、実施回数ごとの平均周期です。
- 1回目:15.6年
- 2回目:14.0年
- 3回目:12.9年
差は2.7年。しかも一度きりのブレではなく、きれいに右肩下がりです。
理由は建物の側にあります。新築から1回目までは、建材も防水層もすべてが新品です。工場で作られ、施工されたばかりの状態なので、劣化の進み方は緩やかです。
しかし1回目の工事を終えた建物は、もう新築ではありません。塗り替えた表面の下には、15年分の負荷を受けた下地がそのまま残っており、シーリングを打ち替えたところで、その周囲のコンクリートは歳を取り続けています。2回目、3回目と進むにつれて、手を入れなければならない箇所が増え、次の工事までの間隔が詰まっていきます。
建物は、回を追うごとに手がかかるようになります。
築30年を超えたマンションで「前回から12年経ったが、まだ大丈夫だろう」と考えるのは危険です。1回目と同じ感覚では間に合いません。
大阪湾の近くでは、この前提がさらに変わります
ここまでは全国の平均値です。堺市で建物を見ている立場から、地域の事情を補足します。
堺市の西側は大阪湾に面しています。海から吹く風には塩分が含まれ、建物の表面に付着し、鉄を錆びさせ、塗膜の劣化を早めます。手すり、階段の鉄部、外部に露出した金物。このあたりは、内陸の同じ築年数の建物より確実に進行が速くなります。
もう1つ、堺市には泉北ニュータウンをはじめとする、1960年代後半から1970年代に大量供給された住宅ストックがあり、この年代の建物はすでに2回目や3回目の大規模修繕を経験している時期にあたります。周期が詰まってくる段階です。
同じ「築25年のマンション」でも、内陸の南区にある建物と、海側の西区にある建物では、劣化の状況が違います。計画書の年数は同じでも、建物は同じではありません。
周期より先に決めるべきこと
周期は判断の入口にすぎません。工事をいつやるかは、最終的に建物の状態で決まります。
順序はこうです。
まず建物診断を行い、現状を把握します。次に、その結果と長期修繕計画を突き合わせます。計画より劣化が進んでいれば前倒しを、想定より状態が良ければ先送りを検討します。そのうえで、修繕積立金の残高と照らして実施時期を決めます。年数は最後に出てくる数字であって、最初に置く前提ではありません。
なお、令和3年9月の改定では周期以外にも変更がありました。既存マンションの長期修繕計画の期間が、それまでの25年以上から、大規模修繕工事を2回含む30年以上に延長されています。お手元の計画が古い基準のままなら、見直しの時期に来ているかもしれません。
工事費の目安も同じ実態調査に出ています。戸あたりの工事金額は100万円から125万円の範囲が最も多く、総工事費のうち建築系の工事が60.3%、足場などの仮設工事が22.8%、諸経費が10.3%という内訳でした。建築系の中では外壁関係が49.4%、防水関係が32.0%を占めています。ただしこれは全国の集計であり、建物の規模、階数、立地、劣化の程度によって大きく変わります。
まず建物を見てから、計画を疑ってください
「うちは12年周期だから」という前提は、いま一度確認する価値があります。国はその数字を定めていませんし、実際の工事は1回目で15年以上かかっているのが平均です。逆に3回目を迎える建物では、13年を待たずに手を入れる判断が必要になることもあります。
判断の材料は、計画書に書かれた年数ではありません。目の前の建物が、いまどういう状態にあるか。それだけです。
株式会社KYOEIは堺市を拠点に、マンションやビルの大規模修繕、外壁改修、防水工事を手がけています。すぐに駆けつけられる距離にある会社として、建物の状態を見たうえでご説明します。
理事会で周期の話が出ているが判断がつかない、長期修繕計画が実態に合っているか分からない。そうした段階でもかまいません。まずは建物を見せてください。
株式会社KYOEI
大阪府堺市西区堀上緑町2-2-15
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