「狭いところは簡単な足場でいい」は本当?2024年に変わった『本足場』と、隣家との1メートル

皆さま、こんにちは!株式会社KYOEIです。

隣の家との隙間にメジャーを当ててみたら、60センチしかありませんでした。物干し竿がぎりぎり通るくらいの幅です。

そこに足場が立つのか。

見積もりを頼んだ会社からは「北面はこの幅なので、組み方が変わります」と言われた。別の会社は何も言わずに金額だけ出してきた。どちらの話を信じればいいのか分からない。堺の古い住宅地では、こういう相談が届きます。

足場は工事の入口です。ここが決まらないと、工程も金額も動きません。しかも2024年4月、足場の組み方を決める国の規則が変わりました。境目になる数字は1メートルです。

先に答えを書きます

2024年4月1日から、建物の外面から1メートル以上の空きがある場所では、建地(たてじ)を2列建てる本足場を使うのが原則になりました。1メートル未満なら、建地が1列の一側足場(ひとかわあしば)も使えます。

隣家との隙間が1メートルあるかどうかで、足場の種類が分かれます。狭いほど安く済むという話にはなりません。

「1メートル」で足場の種類が変わった

労働安全衛生規則に、第561条の2という条文が新しく加わりました。施行は2024年(令和6年)4月1日です。条文はこうなっています。

事業者は、幅が一メートル以上の箇所において足場を使用するときは、本足場を使用しなければならない。ただし、つり足場を使用するとき、又は障害物の存在その他の足場を使用する場所の状況により本足場を使用することが困難なときは、この限りでない。

労働安全衛生規則 第561条の2

ここでいう「幅」は、足場を設ける床面で、建物の外面を起点にして水平方向にどれだけ空いているかを測ります。厚生労働省は施行の通達でそう説明しています。

本足場は、建物と平行に建地を2列建てて、その間に作業床を渡します。一側足場は建地が1列で、片側だけで支える組み方です。狭い場所で長く使われてきた形。ただ、墜落や転落の労働災害が続いたため、使ってよい範囲に線が引かれました。

床の寸法にも決まりがあります。同じ規則の第563条は、作業床の幅を40センチメートル以上、床材と床材のすき間を3センチメートル以下、床材と建地とのすき間を12センチメートル未満と定めています。職人が立って、腕を伸ばして、道具を置いて塗る場所です。これだけの幅は要ります。

隙間が50センチしかない面に、この床は入りません。

だから現地調査では、必ずメジャーが出ます。

堺の街並みでは、この境目がよく効いてくる

堺市には、道路そのものが4メートルに満たない区域が残っています。市はこれを「狭あい道路」と呼び、幅員4メートル未満の道路を対象に拡幅整備の制度を持っています。建て替えのときに道路の中心線から2メートル後退してもらい、その用地の寄付を受けて市が道路を広げる仕組みです。分筆の登記と道路整備、その後の維持管理まで市が引き受けます。

制度があるということは、後退がまだ済んでいない道が残っているということでもあります。

もっとはっきり示されている区域もあります。堺区の新湊地区です。市の資料では、西湊町1丁から6丁、出島町1丁から5丁、東湊町1丁から4丁と5丁・6丁の一部、昭和通1丁から3丁、菅原通1丁と2丁、春日通1丁にわたる53.7ヘクタールが、住宅市街地総合整備事業(密集住宅市街地整備型)の区域とされています。市はこの地区について「狭あいな道路が多く、戦前からの長屋等の老朽化した木造住宅が密集し、住環境上や防災上の課題を抱えています」と説明しています。

長屋は、隣と壁を共有しています。共有した面には、足場を掛ける隙間がそもそもありません。

こうした建物の塗り替えでは、塗料を選ぶより先に決めることがあります。どの面に足場が立つのか。立たない面をどう手当てするのか。図面ではなく、実際に測った寸法で決めるほかありません。

足場が道路にはみ出すとき、許可は2つ要る

敷地の中に足場が収まらなければ、道路を借りることになります。ここで要る許可が2種類あります。名前は似ていますが、出す相手が違います。

1つは道路使用許可です。根拠は道路交通法第77条第1項で、道路で工事や作業をする行為が対象になります。許可を出すのは、その場所を管轄する警察署長です。

もう1つは道路占用許可です。根拠は道路法第32条第1項で、堺市も「工事等に伴う足場や仮囲いなど」を許可が要る物件として挙げています。こちらは道路管理者、堺市道であれば堺市が出します。窓口は建設局土木部の路政課占用係で、堺市道路占用料条例に基づく占用料がかかります。市は、申請の前に十分協議するよう求めています。

この申請を施主が自分でやることは、まずありません。工事を請け負う会社が取ります。ただ、見積書と工程表を見るときに確かめておくと違いが出ます。

  • 足場が道路にかかる計画になっているか
  • 2つの許可の取得が、誰の作業として見積もられているか
  • 占用料が工事費に入っているか
  • 許可が下りるまでの日数が、着工日の前に織り込まれているか

許可の手続きは、着工の直前に思い出しても間に合いません。

見積もりの足場の欄で、聞いておきたいこと

足場は「一式」と書かれやすい項目です。金額だけを並べても、何が違うのかは見えません。まず、数量と単位が入っているかを見てください。足場は掛ける面の広さ(架面積といい、単位は平方メートル)で拾い、そこに単価を掛けるのが一般的です。

そのうえで、敷地が狭いなら次を聞きます。

  • どの面に本足場を使い、どの面が一側足場になるのか
  • 一側足場になる面があるなら、その理由は幅が1メートル未満だからか、障害物があるからか
  • 足場が立たない面を、どうやって塗るのか
  • 隣地に足場の一部が入る場合、隣家への説明を誰がいつ行うのか

最後の1つは、堺の密集した住宅地でとくに効きます。足場が境界ぎりぎりに立てば、隣家の窓や物干しのすぐ横に骨組みが現れます。工事の前に一声あるかどうかで、その後の2週間の空気が変わります。足場が立ってからの暮らしについては足場と養生でよくある質問足場を組んでいる間の防犯対策にまとめました。

まず測る。話はそれからです

隣の家との隙間、前の道路の幅、境界からの距離。この3つを測った紙が1枚あるだけで、業者との話は具体的になります。メジャーが入らないところは、写真で足ります。

株式会社KYOEIは、大阪府堺市西区堀上緑町2-2-15から、堺市7区と大阪府南部で外壁塗装、防水工事、大規模修繕、雨漏り修理に伺っています。出城第2住宅1号館外壁改修その他工事のように、足場を架けて壁を1面ずつ仕上げていくのが本業です。

隙間の写真と、メジャーを当てた1枚。それだけで、組めるかどうかの見当はつきます。電話は072-349-3278です。