「窓からの雨漏りは施工不良」は本当?サッシに等級がある『水密性』と、台風の日だけ水が入る原因
皆さま、こんにちは!株式会社KYOEIです。
台風が抜けた翌朝、窓のレールに水がたまっていました。すくえるほどの量ではないけれど、カーテンの裾は湿っていて、床板に細い線が残っている。
拭いて、その日は終わりました。
建てた会社に電話をすると「サッシに異常はありません」と返ってきます。点検にも来てもらった。それでも次の台風で、また同じ窓の下が濡れる。
この相談が、毎年9月から10月にかけて増えます。
先に書いておくと、その回答は間違っていません。ただ、説明が半分で止まっています。窓は、どんな風雨でも水を止める前提では作られていないからです。
先に答えを書きます
窓には水密性という性能があり、日本産業規格(JIS A 4706)で等級が決まっています。W-1 から W-5 までの5段階。等級が示しているのは風速ではありません。室内と屋外の圧力の差です。
この等級を超える風雨のとき、水は設計上、入ります。
そこで、見分ける入口は「どんな日に濡れたか」になります。台風や暴風雨の日だけなのか、ふつうの雨でも濡れるのか。ここで疑う場所が変わります。前者ならサッシの排水と掃除の話に、後者なら窓の外側か、窓より上の話になります。
サッシは「どこまで止めるか」が数字で決まっている
JIS A 4706 が定める水密性の等級と、対応する圧力差は次のとおりです。
- W-1:100 Pa
- W-2:150 Pa
- W-3:250 Pa
- W-4:350 Pa
- W-5:500 Pa
Pa はパスカルと読み、圧力の単位です。風が窓や壁を押す力は、建築の世界では圧力に置き換えて扱います。建築基準法施行令第87条も、風圧力は速度圧と風力係数の掛け算で求めると定めています。
試験の方法も規格(JIS A 1517)で決まっています。1分間に1平方メートルあたり4リットルの水を窓の全面に噴霧しながら、等級ごとの圧力を脈打たせるように10分間かけ、室内側へ水が出ないかを見ます。
1分間に4リットルという水の量が、どのくらいの雨か。1時間に直すと240ミリの雨にあたります。かなり激しい条件で試していることは分かります。
では、自宅の窓がどの等級なのか。サッシメーカーの YKK AP は、木造住宅用のサッシは一般に W-3、ビル用のサッシは一般に W-5 だと技術資料で案内しています。分譲マンションや賃貸のビルなら、後者にあたります。
ここで、耐風圧性の等級と見比べると妙なことに気づきます。水密性の等級は、耐風圧性より低めに設定されています。同社はその理由を、風と雨の同時性の頻度が少ないからだと説明しています。
いちばん強い風が吹く日に、いちばん強い雨が同時に降る。この重なりは、想定の外に置かれています。
台風は、その例外です。
レールに水がたまるのは、こわれているからではない
アルミサッシは、水を1滴も通さない箱ではありません。入ってきた水を下枠でいったん受け、外へ戻す構造をしています。雨の日にレールへ水がたまるのは、むしろ設計どおりの動きです。
YKK AP は、よくある質問のページでこう書いています。「降雨時に下枠に水が溜まることは、一般的な窓の構造上、水密性能を保持するために必要なことであり、サッシの不具合ではありません。下枠に溜まった雨水は、雨が止めば自然に外部に排水され引いていきます」。
LIXIL も同じ趣旨で、住宅用サッシの構造上で起こりえる現象だと案内しています。
見るのは、たまっているかどうかではありません。引くかどうかです。
雨がやんで半日たってもレールに水が残っているなら、出口が塞がっています。下枠の外側には水抜きの穴が開いていて、たまった水はそこから外へ落ちます。砂、ほこり、落ち葉、虫の死骸。これが穴の前に積もると、水は行き場をなくして室内側へあふれます。
先ほどの YKK AP のページにも、下枠レールにゴミがついていると水があふれる恐れがあると書かれています。
掃除は、掃除機とブラシで足ります。レールの溝の砂を吸い取り、外側の端にある小さな穴の前をさらう。梅雨の前と台風の前の年2回で十分です。
台風の日は、下枠にタオルや雑巾を当てておいてください。これは同社自身がすすめている対処です。商品の性能を超える事態では下枠から雨水が吹き込むこともある、と認めたうえでの案内になっています。
分譲マンションにお住まいなら、もう1つ知っておくことがあります。窓のサッシとガラスは、多くの管理規約で共用部分として扱われ、各住戸に専用使用権が認められる形になっています。日々の掃除は各戸でできますが、部品の交換や窓そのものの更新は管理組合の議題です。線引きはマンションの共用部分と専有部分の記事にまとめました。
ふつうの雨で入るなら、窓の外側を見る
台風でもない日に、風もそれほど強くないのに濡れる。この場合、等級の話ではありません。
窓の外側に、水の通り道ができています。探す場所は4つです。
1つ目は、サッシ枠と外壁の取り合いに打ってあるシーリングです。10年前後で痩せ、切れます。窓の四隅は建物の動きが集中するため、そこから先に切れます。打ち替えの手順はシーリング打ち替えの記事に書きました。
2つ目は、外壁のひび割れです。窓の四隅から斜めに走るひびは、開口部のまわりに力が集まった跡です。幅が細くても、風で押しつけられれば水は入ります。
3つ目は、窓の上の庇と、窓台に付いている水切りの金物です。浮いていたり、外壁との継ぎ目が切れていたりすると、そのまま入口になります。
4つ目は、窓のすぐ横を通っている配管の穴です。エアコンの配管を通した穴は外壁を貫通しています。塞いであるパテが痩せて縮めば、壁の中へ直接水が入ります。
壁の種類で、先に見る場所も変わります。サイディングの家は、窓のまわりに板を切り欠いた継ぎ目が集まります。モルタルの家は、開口部の隅に細いひびが出ます。
入口は、窓より上にあることがある
水は壁の中を下りてきます。濡れている窓の真上や真横に入口があるとは限りません。
上階のベランダの床。手すり壁の上に被せた笠木。屋根の軒。外壁を貫く換気フード。このどれかから入った水が、壁の中の柱や下地を伝って下り、いちばん近い開口部の上枠から出てくる。よくある形です。
笠木についてはベランダの笠木が雨漏りの入口になる記事に書きました。その記事で引いた事故情報のデータでも、雨水の浸入箇所は外壁の開口部が29.6%で最も多く、外壁面の26.2%と合わせると、壁まわりが全体の半分を超えていました。開口部というのは、窓とドアのことです。
濡れるのが下枠だけなのか、上枠から垂れてくるのか。この違いだけでも、探す範囲はかなり絞れます。
次の雨の日に、書き留めてほしいこと
濡れた直後の窓を1回見ただけでは、原因まではたどれません。記録が何回か溜まったほうが、かえって早く絞れます。
書き留めるのは4つです。
- 日付と、そのときの風向き。気象庁のサイトで、後から近くの観測所の記録を確かめられます
- どの窓か。方角と階
- 濡れたのは下枠か、上枠か、横枠か、それとも窓まわりの壁か
- 写真。濡れた場所の寄りと、窓全体の引き
3回そろえば、傾向が出ます。南寄りの強い風の日に限って起きるなら、その面の外壁とシーリングを疑います。風向きと関係なく、雨量が多い日に起きるなら、上から回っている可能性が高くなります。台風の日だけで、翌日には引いているなら、まずレールの水抜きを掃除してください。
株式会社KYOEIは、大阪府堺市西区堀上緑町2-2-15から、堺市7区と大阪府南部で外壁塗装、防水工事、大規模修繕、雨漏り修理に伺っています。双葉シティプラザ大規模修繕工事や柏里第2住宅5・6号館外壁改修その他工事のように、足場を架けて壁を1面ずつ見ていくのが本業です。窓まわりのシーリングは、その足場があるうちに手が届きます。
濡れた日の写真とメモが数枚あれば、次の台風を待たずに見当はつきます。電話は072-349-3278です。