「屋根を直したのに、まだ漏る」。ベランダの手すりの上『笠木』が雨漏りの入口になる理由

皆さま、こんにちは!株式会社KYOEIです。

ベランダの手すり壁の上に、アルミや板金のフタのようなものが被せてあります。手を置くと少し冷たい、あの部分です。名前を知らないまま20年、30年と暮らしている方がほとんどだと思います。

台風が過ぎた翌週に、2階の天井にシミが出た。屋根を見てもらったら、瓦にも防水シートにも異常なしと言われた。それでも次の大雨でシミが広がる。

こういう相談が、毎年9月から10月にかけて増えます。

入口が屋根ではないとき、探す場所は限られています。そのうちの1つが、さきほどのフタです。笠木(かさぎ)といいます。

先に答えを書きます

ベランダや共用廊下の手すり壁の上端に被せてある笠木は、雨漏りの入口になりやすい部分です。しかも外から眺めているだけでは、傷んでいるかどうかが分かりません。

見る場所は笠木の表面ではありません。笠木どうしの継ぎ目、笠木を留めているビス、笠木の端が外壁に突き当たっている箇所。この3か所です。

屋根が原因の雨漏りは、5件に1件ほど

国土交通大臣が指定した公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センターが、「住まいるダイヤル」というサイトで雨漏りのデータを公開しています。もとになっているのは、住宅瑕疵担保責任保険法人5社と同センターが共同で使っている事故情報のデータベースです。

2009年から2023年までに保険金の支払いが済んだ、または支払いが確定した約15,000件。そのうち木造戸建住宅を集計した結果が出ています。

雨水がどこから入ったか。外壁開口部が29.6%、外壁面が26.2%、勾配屋根と天窓が20.2%。

サッシまわりを含む壁が、合わせて半分を超えています。

ここで数字の扱いに注意が要ります。これは新築住宅の10年保証の枠内で起きた事故の集計であり、築25年の家でいま起きている雨漏りの内訳そのものではありません。それでも、屋根から順に疑っていく癖にブレーキをかけるには十分な数字です。

同センターは、原因を探しにくい理由もはっきり書いています。「外部から雨水が浸入した箇所と室内で雨漏りが確認された箇所が離れているケースや、複数の箇所から雨水が浸入しているケース等も見られます」。

天井のシミの真上に入口があるとは限りません。

笠木は何をしていて、どこから水が入るのか

笠木は、手すり壁やパラペット(屋上の端で立ち上がっている低い壁)の上端に被せる仕上げ材です。壁の断面を雨から守るために載っています。

手すり壁の中身は、木造の家なら下地の木材と防水紙です。上から水が入れば、木が濡れます。濡れた木は、時間をかけて腐ります。

同センターは、笠木まわりの浸入箇所として次を挙げています。

  • 手すり壁や笠木と外壁とが接する部分(取合い部)に生じたすき間
  • 笠木の取り付け部、つまりねじの穴
  • シーリング(すき間を埋めるゴム状の材料)のはがれやひび割れ

2つ目に引っかかった方がいるはずです。笠木は、上から穴を開けて留めてあります。

ビス自体は防水の処理をして打ちます。ただし、その処理はビスと笠木のあいだのわずかな面積が受け持っています。20年、30年と持たせる前提の部品ではありません。

同センターは対策として、軒や庇(ひさし)の出を長くして取合い部に当たる雨を減らすこと、手すり壁にも通気の経路をつくること、笠木の固定方法や留め付けの位置を工夫したものを採用することを挙げています。裏返せば、そこまで気を配る値打ちのある場所だという話です。

入口と出口が離れるから、笠木にたどり着かない

笠木から入った水は、そこで真下に落ちてはくれません。手すり壁の中の下地材や防水紙の上を伝って、横へ走ります。壁の中を下りて、外壁とベランダの床が接するあたりから室内側へ回り込むこともあります。

だから室内に出るのは、笠木の真下とは限りません。1階の天井だったり、サッシの上枠だったり、ベランダから離れた部屋の隅だったりします。

そのシミの位置から見上げると、視線の先にあるのは屋根です。

屋根を見てもらって、直すところは直して、それでも止まらない。この順番をたどってから相談に来られる方が、実際にいます。

原因を絞るには、低い位置から順番に水をかけていく散水調査という方法があります。どこから当たるかで、かかる時間がまるで変わります。目星をつけずに始めると、水をかける箇所だけが増えていきます。

堺市と大阪府南部で、笠木が早く傷む理由

笠木は建物の中でいちばん条件の悪い場所に付いています。上を向いた水平な面で、降った雨がそのまま載り、日射も一日じゅう当たります。屋根の次に過酷な場所です。

そこに堺の事情が重なります。

大阪湾から吹く風は塩分を運びます。笠木本体がアルミでも、留めているビスや下地の金物まで同じ素材とは限りません。種類の違う金属が触れ合っているところへ塩分と水が入ると、腐食が早く進みます。海から離れた区でも、風の通り道になっていれば塩分は届きます。この話は堺の外壁に出る塩害が距離だけで決まらない理由に書きました。

もう1つは築年数です。泉北ニュータウンをはじめ、堺市の南部には1970年代前後に建った住宅と団地がまとまって残っています。ベランダの手すり壁と笠木は、その頃の建物にも普通に付いていました。50年ぶんの熱と紫外線を、あの細長い面が受け続けてきたことになります。

金属は夏と冬で伸び縮みします。シーリングはその動きに何十年も付き合えません。切れます。

直すのは誰か。一戸建てと分譲マンションで変わる

一戸建てなら建物の所有者が判断します。笠木だけの交換で済むのか、手すり壁の下地から手を入れるのかは、開けてみるまで分かりません。腐った木を残したまま新しい笠木を被せても、同じところがまた濡れます。

分譲マンションは事情が違います。国土交通省のマンション標準管理規約では、バルコニーは共用部分として扱われ、各住戸の区分所有者が専用使用権を持ちます。通常の使用にともなう手入れは使う人の責任と負担、それ以外は管理組合の負担、という切り分けです。笠木は手すり壁の一部ですから、住戸の判断だけで交換する話にはなりません。

境界の考え方はマンションの共用部分と専有部分の本当の境界にまとめています。

管理組合の方には、もう1つ見ていただきたいものがあります。長期修繕計画の工事項目に、笠木の更新が入っているかどうかです。屋上防水と外壁塗装は載っていても、笠木が項目から抜けている計画があります。抜けていれば、当然その費用は積み立てられていません。

今週末、ベランダに出て3か所だけ見る

洗濯物を干すついでで足ります。笠木どうしの継ぎ目に指を当てて、シーリングが縮んでいないか、痩せて溝になっていないかを見てください。ビスの頭が浮いていないか、ビスのまわりに黒い筋や白い粉が出ていないかを見てください。笠木の端が外壁に突き当たる箇所も同じです。

写真を撮って日付を残しておけば、来年見るときの比較になります。

株式会社KYOEIは大阪府堺市西区堀上緑町2-2-15を拠点に、堺市7区と大阪府南部で大規模修繕、外壁塗装、防水工事、雨漏り修理を手がけています。UKビル屋上防水工事のような防水とシーリングの仕事も、施工実績に載せています。

笠木は、はしごを掛けずに手の届く数少ない雨漏りの入口です。継ぎ目の写真を1枚送っていただければ、次にどこを見ればよいかはお伝えできます。電話は072-349-3278です。