「サイディングの反りは塗れば戻る」は本当?築25年を境に分かれる『通気層』の有無
皆さま、こんにちは!株式会社KYOEIです。
外壁の板の角が、少しだけ浮いています。隣の板とのつなぎ目に段差ができていて、朝の低い日が当たると、そこだけ細い影が落ちます。
指で押すと、わずかに動く。
塗り替えの見積もりを取ったときに、この話をした方は多いと思います。「上から塗れば目立たなくなりますよ」と言われて、そういうものかと受け取った方も。
反った板は、塗っても戻りません。それどころか、家によっては塗ったあとに塗膜が膨れます。
分かれ目は築年数そのものではなく、板の裏に隙間があるかどうかです。そしてその隙間は、定規1本で確かめられます。
先に答えを書きます
窯業系サイディングは、セメント質の原料と繊維質の原料を混ぜて固めた板です。セメントが入っている以上、水を吸えば伸び、乾けば縮みます。表側だけが先に乾けば、板の端は外を向いて反ります。
反りの元にあるのは水です。板の裏に通気層という隙間があれば、入った水は下から抜けます。隙間がなければ、抜けません。
一般社団法人日本窯業外装材協会がこの隙間を設ける構法を全国標準工法としたのは、平成13年4月からです。それより前に建った家には、板を防水紙に直接張った直張りが残っています。
確かめる場所は、建物の足元です。
板が反るのは、水を吸って乾くから
新しいうちは、表面の塗膜と、つなぎ目に詰めたシーリングが水の入り口をふさいでいます。この2つが効いている間、板そのものは濡れません。
塗膜が水をはじく力は10年前後で落ちます。シーリングはそれより早く、痩せたり切れたりします。そこから先は、板が直接雨を吸います。
吸った板はわずかに膨らみ、雨がやんで日が差せば乾いて縮みます。ここまでなら、行って戻るだけの話です。
やっかいなのは、乾き方が表と裏で違うことです。表側は日射と風で早く乾き、裏側は湿ったまま残る。厚み方向で縮み具合に差ができれば、板は乾いた側へ引っ張られます。両端が外を向くのは、このためです。
膨らんで縮む。膨らんで縮む。この往復を何百回と重ねるうちに、反りは戻らなくなります。
堺は、この往復が起きやすい土地です。夏の強い日射で、濡れた表面が一気に乾きます。加えて大阪湾からの風が塩分を運びます。塩分は塗膜の傷みを早めるので、板が水を吸い始める時期そのものが前に来ます。海沿いの区に限った話ではないことは、堺の外壁に出る塩害の記事に書きました。
反りが進むと、次に釘やビスの周りへ力がかかります。板が浮こうとするのを、留め具1点で押さえている状態です。そこから割れます。つなぎ目のシーリングも、引っ張られて切れます。
反りは、それ自体が水の入り口を増やします。
板の裏に、隙間があるかどうか
いまの標準的な張り方を、外側から順に書きます。サイディング、通気層、透湿防水シート、その内側に柱や間柱。板とシートのあいだに、指が1本入るくらいの空きがあります。
この空きが通気層です。
役目は2つあります。1つは、室内側から壁の中へ入った湿気を外へ逃がすこと。もう1つは、板のつなぎ目などから入った雨水を、壁の中に留めずに下から出すことです。協会は、サイディング本体と透湿防水シートの両方の防水機能で雨水を防ぐ考え方を基本としています。板は1枚目の傘であって、最後の砦ではありません。
住宅の瑕疵保険の設計施工基準や、フラット35に対応する木造住宅工事仕様書では、通気層の厚さを15ミリメートル以上確保することとされています。
直張りには、この空きがありません。板の裏が防水紙に密着しています。入った水は下へ落ちる道がなく、板の裏側に留まります。
同じ雨に降られても、乾くまでの時間がまるで違います。反りが直張りの家で先に出るのは、そのためです。
ここで、よく見かける説明を1つ訂正しておきます。「2000年に法律で通気工法が義務づけられた」と書かれていることがありますが、通気構法を全国標準工法と決めたのは、業界団体である一般社団法人日本窯業外装材協会です。時期は平成13年、西暦でいえば2001年の4月からとされています。
法律の施行日と違って、現場の切り替わりには幅が出ます。それより前から通気層を取っていた工務店もあれば、しばらく直張りを続けた地域もありました。
だから築年数は目安にしかなりません。2026年のいまなら築25年あたりを境目と見て、そこから実物を確かめる。この順番です。
定規を1本、足元に差し込む
建物の足元を見てください。基礎とサイディングの境目に、金属の板が水平に回っています。土台水切りといいます。
その水切りの上に、サイディングの下端が来ています。ここへ定規かカードを差し込みます。
板の厚み分で止まれば、直張りの可能性が高くなります。厚みを越えて、さらに指1本ぶん奥まで入るなら、通気層があります。
板の厚みの見当は、こうつけます。協会がいま案内している窯業系サイディングの厚さは、14ミリメートルから26ミリメートルです。かつては12ミリメートルの製品が広く使われていましたが、2008年に日本産業規格(JIS A 5422)が改正されて最小の厚さが引き上げられ、12ミリメートルは規格から外れました。
板が12ミリメートルなら、おおむね2008年より前の家です。
外から見える手がかりが、もう1つあります。留め方です。薄い板は釘で打ち留め、厚い板は金具で引っ掛けて留めます。壁をよく見て、釘の頭が点々と並んでいれば釘留めです。金具留めの壁には、この点が出ません。
いずれも目安です。断定できるのは、板を1枚外して断面を見たときだけになります。まず水切りのところで見当をつけて、気になれば見てもらう。それで足ります。
反った板に、何をするか
ここからは、反りの程度で分かれます。
浮きがわずかで板が割れていないなら、ビスで留め直して押さえ、頭を埋めてから塗ります。ただし強く締めれば割れます。反った板は乾いて硬くなっているので、下穴を開けて加減します。
反りが強い板や、端が欠けている板は、その1枚を張り替えます。ここで困るのが柄です。窯業系サイディングは意匠の入れ替わりが早く、20年前の柄が残っていることはまれです。近い柄を探すか、全面を塗って色をそろえるかの判断になります。
直張りだと分かった場合は、話がもう1段変わります。板の裏に水が残る前提なので、水蒸気を通しにくい塗料でふさぐと、逃げ場を失った水分が塗膜を押し上げます。塗って数年で膨れが出るのは、この形です。透湿性のある材料を選ぶか、既存の上に新しい外壁を張るカバー工法や張り替えまで含めて考えます。
洗い方にも気をつけます。塗り替えの前には高圧洗浄で汚れと古い塗膜を落としますが、反って隙間ができた板へ真正面から水をあてれば、裏へ水が回ります。洗浄の加減は高圧洗浄の記事に、つなぎ目のシーリング打ち替えの手順は別の記事にまとめています。
見積もりの順番も、ここで決まります。反っている板が何枚あって、どこにあるのか。1枚ずつ拾って、はじめて数量が出ます。
今週末に見るのは3か所
反りは、建物の全部の面に均等には出ません。日の当たる南面と西面から先に出ます。この2面を、朝か夕方の低い日差しのときに、壁の面に沿って横から見てください。浮きがあれば影が出ます。
次に足元です。土台水切りの上に定規を差し込んで、奥行きを確かめます。
最後に、釘の頭が見えるかどうか。
写真は3枚あれば足ります。浮いている板を斜めから1枚、水切りに定規を差した状態を1枚、壁全体の引きを1枚。
株式会社KYOEIは、大阪府堺市西区堀上緑町2-2-15から、堺市7区と大阪府南部で外壁塗装、防水工事、大規模修繕、雨漏り修理に伺っています。リカデント蓼津外壁改修工事のように、壁を1面ずつ確かめてから手順を決める仕事が本業です。賃貸のハイツやアパートの外壁も、材料はこの窯業系サイディングです。
反った板の写真が1枚あれば、留め直しで済むか張り替えが要るかの見当はつきます。電話は072-349-3278です。