「雨がやんだら引くから平気」は本当?屋上の雨漏りが排水口(ルーフドレン)から始まる理由
皆さま、こんにちは!株式会社KYOEIです。
雨の翌朝に屋上へ上がると、隅のほうに水が残っている。昼を過ぎればたいてい消えているので、そのままにしている。ビルのオーナーや管理組合の理事の方から、そんな話を聞くことがあります。
堺市では2022年(令和4年)9月2日に、時間雨量99ミリの雨が降りました。市内でそれまでに観測された最大の雨を更新した日です。
その日、屋上にたまった水はどこへ流れたのか。屋上の雨漏りは、防水層の広い面からではなく端から始まります。端のうちで最も水が集まる場所が、排水口です。
先に答えを書きます
屋上を点検するときは、防水層の広い面より先に排水口を見ます。
見るのは3つです。排水口がいくつあるか。ごみ受けが乗っているか。雨のあとに水が残る場所が、排水口から遠いか近いか。この3つが分かれば、次に手を入れるべき箇所が絞れます。
堺で時間99ミリ。街の雨水整備が目標にしているのは時間50ミリ
堺市上下水道局は、時間雨量約50ミリに対応することを目標として、雨水管や雨水ポンプ場、雨水調整池を整備しています。調整池は、短い時間に集中して流れ込んだ雨水を一時的にためて、下流の雨水管があふれないようにするための施設です。
その目標の倍近い雨が、2022年9月2日に降りました。時間雨量99ミリ。堺市はこの雨をもとに、市内で浸水が想定される区域の図(内水ハザードマップ)を作り直しています。あわせて、想定しうる最大規模の降雨として時間雨量147ミリの図も用意されています。
短い時間に強く降る雨が増えているのは、堺だけの話ではありません。気象庁によると、全国のアメダスで1時間に50ミリ以上の雨を観測した回数は、1976年から1985年の平均が約226回、2015年から2024年の平均が約334回でした。全国のアメダスを1300地点あたりに換算した数字で、およそ1.5倍にあたります。
建物の雨水の設計は、建てた当時の雨量をもとに決めます。築30年、築40年の建物が前提にしているのは、今より弱い雨です。
屋上に上がったら、まず排水口の数を数えてください。1か所しかない屋上は、そこが塞がった瞬間に水の逃げ場がなくなります。
雨漏りが排水口から始まるのは、そこが防水層の端だから
防水層は、屋上を一枚の膜で覆う仕組みです。膜である以上、切れ目の入る場所が弱点になります。切れ目が集まるのは3か所。防水層が壁ぎわで垂直に折り返している部分(立ち上がり)、パラペット(屋上の周囲に立つ低い壁)の上、そして排水口。
排水口では、防水層を筒の中へ引き込んで固定します。金物と防水材という材質の違うものが、そこで直接触れ合います。伸び方も縮み方も違う2つの材料が、夏の炎天下と冬の朝で毎日動く。この動きの差が、少しずつ隙間を作ります。
そのうえ排水口は、屋上でいちばん低い場所にあります。水が集まるように作ってあるので当然です。屋上でいちばん長く濡れている防水層は、排水口のまわりの防水層。
古い建物のルーフドレンには鋳鉄製のものがあります。鉄はサビると体積が増えます。膨らんだサビが防水層を下から押し上げ、口が開くことがあります。
詰まったときに起きることは、もっと単純です。水位が上がります。立ち上がりの防水層には高さの限りがあり、その高さを水が超えると、防水層の裏へ回ります。押えコンクリート(防水層の上に打つ保護用のコンクリート)がある屋上なら、水はその下を横に走ってから室内に出てきます。天井のシミの位置と、実際に水が入った箇所がずれるのは、これが理由です。
詰まりが招くのは、雨漏りだけではありません
水は重いものです。深さ1センチの水は、1平方メートルあたり10キロあります。
100平方メートルの屋上に5センチたまれば、5トンになります。屋上に置いた物置や設備の架台のまわりにも、同じ水位で水が回ります。
排水口を塞ぐものは、だいたい決まっています。
- 落ち葉と枯れ枝。周囲に街路樹があると、風で屋上まで運ばれます
- 鳥の巣と羽根
- 砂と土。押えコンクリートの目地や、防水層の表面から出た粒がたまります
- 飛んできたビニール袋
- 屋上緑化の土
ごみ受け(ストレーナー)は、これらを止めるための金物です。外れたまま置かれている屋上もあれば、踏まれて潰れている屋上もあります。潰れたごみ受けは、ごみを止めずに水だけを止めます。
屋上の排水口は誰が見るのか
分譲マンションの屋上は共用部分です。管理組合が管理します。
各戸のベランダは扱いが違います。国土交通省のマンション標準管理規約のコメントでは、バルコニーの清掃のような「通常の使用に伴う」管理は、専用使用権を持つ人が自己の責任と負担で行うものとされています。どこまでが組合の仕事なのかは、マンションの共用部分と専有部分の境界で整理しました。
点検の時期は、梅雨に入る前と台風シーズンに入る前の年2回が目安です。屋上に上がるときは足元に気をつけてください。濡れた防水層はよく滑ります。パラペットが低い屋上では、へりに近づかないようにします。
確認するのは次の5つです。
- 排水口の数
- ごみ受けが乗っているか、潰れていないか
- 排水口のまわりで防水層の口が開いていないか
- 雨のあとに水が残る位置
- オーバーフロー(あふれ管)があるか。あれば、そこから水が出た跡が残っていないか
防水層を改修するときは、既存の排水口に新しい筒を差し込む「改修用ドレン」という納まりを使います。国土交通省の公共建築改修工事標準仕様書にも出てくる工法名です。新しい防水層を筒の中まで引き込めるので、いちばん傷みやすい箇所をやり直せます。ただし、内径は元の排水口より細くなります。もともと排水口が1か所しかない屋上では、この点を先に検討しておく必要があります。
台風が来る前に、屋上へ一度上がる
やることは3つです。排水口の数を数える。ごみ受けの上のごみを取り除く。雨のあとに水が残る位置を写真に撮る。写真には日付が残るので、来年の同じ時期と見比べられます。
台風で屋根や外壁が壊れた場合は、火災保険が使える場合があります。線引きは雨漏りと火災保険に書きました。ただし、排水口の詰まりを放っておいた結果の雨漏りは、この線の外側に置かれます。
株式会社KYOEIは大阪府堺市西区堀上緑町2-2-15を拠点に、堺市7区と大阪府南部でマンションやビルの大規模修繕、防水工事、雨漏り修理を手がけています。UKビル屋上防水工事のような屋上の防水改修も、仕事の柱の1つです。
屋上に上がるのが不安なら、無理をしないでください。天井にシミが出ている、雨のあとに水が引かないという状態であれば、現地を見に行きます。電話は072-349-3278です。