「瓦は重いから飛ばない」は本当?近畿に台風が増える9月と、2022年に変わった屋根の基準

皆さま、こんにちは!株式会社KYOEIです。

台風が過ぎた翌朝に、青いシートのかかった屋根を見かけることがあります。少し歩くと、歩道に瓦のかけらが落ちている。そのときは他人事だったのに、家に着いて自分の屋根を見上げると、急に落ち着かなくなる。

瓦は重いものです。だから風くらいでは動かないと思っている方は多いはずです。

ところが国は2022年(令和4年)1月1日から、新築の住宅について、屋根のすべての瓦を留めることを義務にしました。裏を返すと、それまでの基準ではすべてを留めなくてもよかったということになります。

近畿地方に台風が近づく回数は、9月がいちばん多くなります。屋根に登らずに確かめられることを、先に書きます。

先に答えを書きます

2022年1月1日より前に着工した家では、屋根の瓦がすべて留めてあるとは限りません。国が全数を留めることを義務にしたのは、この日以降に着工する新築だけです。すでに建っている家に、留め直す義務はありません。

確認の順番はこうなります。家がいつ建ったかを思い出す。そのうえで、地面から棟と軒先を見上げる。屋根には登らないでください。

近畿に台風が近づくのは、年に3.4個。多いのは9月

気象庁は、台風の中心が滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県のいずれかの気象官署等から300 km以内に入った場合を「近畿地方に接近した台風」と定めています。堺市に上陸しなくても、和歌山県の沖を通れば接近1個として数えられます。

その接近数の平年値(1991年から2020年までの30年平均)は、年に3.4個です。月別では5月が0.1個、6月が0.3個、7月が0.6個、8月が0.7個、9月が1.1個、10月が0.7個。

9月だけが飛び抜けています。

夏休みが終わるころに台風の備えの話をすると、気が早いと言われます。数字の上では逆でした。近畿にとっての本番は、8月ではなく9月に来ます。

全国の数字と並べると、もう1つ見えるものがあります。日本への接近数の平年値は年に11.7個で、そのうち上陸するのは3.0個です。残りの4分の3ほどは、上陸しないまま日本のそばを通り過ぎていきます。上陸しなければ被害がないという話にはなりません。

風の強さも記録に残っています。2018年(平成30年)9月に近畿を通った台風第21号では、大阪府田尻町の関空島で最大風速46.5 m/s、最大瞬間風速58.1 m/s を気象庁が観測しました。関空島の観測点は、堺市と同じ大阪湾に面した場所にあります。

瓦は、重さだけで留まっているとは限らない

風は屋根を上から押すだけの力ではありません。屋根の面に沿って空気が流れるとき、瓦を持ち上げる向きの力も働きます。

国が定めた基準が「留め方」の話であること自体が、答えになっています。押しつぶす力だけが問題なら、決めるべきは瓦そのものの強さでした。実際に決められたのは、瓦をどう留めるかです。

きっかけは2019年(令和元年)の房総半島台風でした。千葉県を中心に、住宅の瓦などの屋根材が飛ばされる被害が数多く出ています。国土交通省は「令和元年房総半島台風を踏まえた建築物の強風対策に関する検討会」を設け、建築基準法にもとづく告示を改正しました。

改正されたのは昭和46年建設省告示第109号ほかです。施行は令和4年1月1日。「瓦屋根標準設計・施工ガイドライン」に準拠した「ガイドライン工法」を告示の基準に位置づけ、新築時のすべての建築物に義務づけました。対象になるのは、この日以降に着工した建物です。

ここからが、すでに家を持っている方に関わる話になります。

政府広報オンラインは、改正後の基準について「すでにある住宅や建築物の瓦屋根に直ちに修繕を求めるものではありません」と書いています。増築する部分の瓦屋根には適用されますが、いま載っている屋根をやり直す義務は生じません。

同じ記事には、続けてこうも書かれています。瓦の留め付けがない場合は、飛散や脱落の危険性がある事例が数多く存在する。

直す義務はない。危ない事例は数多くある。この2つが同時に成り立っているのが、いまの状態です。

自分の家がどちらなのかは、築年数からある程度あたりがつきます。2021年以前に着工した家であれば、瓦が全数留めてあるかどうかは図面を見るか、建てた会社に聞くまで分かりません。分からないまま9月を迎えるより、地面から見える範囲だけでも先に確かめておくほうが早く済みます。

自治体によっては、改正後の基準に適合する葺き替えに使える補助制度を設けている場合があります。制度の名前だけでは対象になるかどうか判断できないので、窓口で確かめてください。堺市の住宅リフォーム関係の制度については、堺市の補助金と外壁塗装の関係にまとめました。

屋根に登らずに、地面から見て分かること

点検について、政府広報オンラインは「屋根の上は滑りやすく大変危険ですので、絶対に登らず地上からチェックをお願いします」と明記しています。ここは守ってください。瓦は踏む場所を選ばないと割れます。割れた瓦を踏んだ足がどうなるかは、想像がつくはずです。

家から少し離れて、道の反対側から見上げます。スマートフォンのカメラでズームして撮っておくと、あとで拡大できます。日付も残ります。

見る場所です。

  • 棟(むね。屋根のいちばん高い稜線)がまっすぐか。波打っていないか
  • 棟のまわりの漆喰(しっくい。瓦のすき間を埋める白い材料)が欠けていないか
  • 庭やベランダに、白い塊や瓦のかけらが落ちていないか
  • 軒先の瓦の列がそろっているか。1枚だけ下がって見える箇所はないか
  • けらば(屋根の妻側の端)の瓦が浮いていないか
  • 板金の端がめくれて、光の当たり方が周りと違って見えないか
  • 雨樋に瓦のかけらや白い粉がたまっていないか

最後の1つは、地上から確認しやすいわりに見落とされます。屋根の上で何かが欠ければ、破片は雨に流されて雨樋へ落ちます。雨樋の中身は、屋根で起きたことの記録です。

台風が近づいた日にできることもあります。ベランダの植木鉢や物干し竿は室内へ入れてください。飛べば自分の家の窓を割りますし、隣の家の屋根も傷めます。雨樋に葉がたまっているようなら、手の届く範囲だけ取り除きます。脚立に登ってまでやる作業ではありません。

分譲マンションや賃貸にお住まいなら、気づいたことは管理組合か管理会社に伝えます。屋根は共用部分です。

台風が来る前に、写真を1枚撮っておく

今日できることは3つです。家が建った年を確かめる。道の反対側から屋根を撮る。雨樋をのぞく。

台風で屋根が壊れた場合、火災保険が使えることがあります。どこまでが対象になるのかは、雨漏りと火災保険の線引きに書きました。

株式会社KYOEIは大阪府堺市西区堀上緑町2-2-15を拠点に、堺市7区と大阪府南部で大規模修繕、外壁塗装、防水工事、雨漏り修理を手がけています。瓦を葺き替えるところまでは専門の職方の領分ですが、台風のあとに天井へシミが出た、外壁の板金がめくれたという段階なら、原因を見に行けます。

写真だけでも構いません。電話は072-349-3278です。