「長期修繕計画は一度作れば十分」は本当?見直しに期限を切った7年と、堺市だけが足す6項目
皆さま、こんにちは!株式会社KYOEIです。
理事が交代する時期になると、書庫の奥から長期修繕計画書が出てきます。分厚い冊子の表紙をめくると、たいてい作成年月日が刷ってあります。平成30年3月。令和2年5月。その数字を見て、手が止まる担当者の方がいます。
作った覚えはある。総会にもかけた。ただ、そのあと一度も開いていない。
計画書は、何年ごとに開き直すものなのでしょうか。国の制度の中に、その期限を数字で決めているものがあります。堺市に申し込むなら、そこへさらに条件が乗ります。
先に答えを書きます
期限を数字で示しているのはマンション管理計画認定制度です。認定の基準の1つに「計画の作成又は見直しが7年以内にされている」ことが入っています。堺市はこの国の基準16項目へ独自の6項目を足し、22項目で審査します。
そして見直しを済ませてあると、大規模修繕をした翌年度の固定資産税が3分の1減る道が開きます。工事の期限は令和9年3月31日です。
7年という期限は、どこから出てくるのか
マンション管理計画認定制度は、マンションの管理の適正化の推進に関する法律にもとづいて令和4年度に始まりました。管理組合が申し込み、認定するのは自治体です。堺市も認定を行っています。
国が示す基準は16項目あります。そのうち6つが、長期修繕計画についてのものです。
- 計画の内容と修繕積立金額が総会で決議されている
- 計画の作成又は見直しが7年以内にされている
- 計画期間が30年以上あり、残存期間内に大規模修繕工事が2回以上含まれている
- 計画で一時的な修繕積立金の徴収を予定していない
- 計画期間全体での修繕積立金の総額から算定された平均額が、著しく低額でない
- 計画期間の最終年度において借入金残高のない計画となっている
16項目のうち6つです。審査の重心がどこに置かれているかは、この数だけでも見当がつきます。
「7年以内」は作成または見直しをした日からの年数です。10年前の計画をそのまま出して、ほかの15項目が揃っているから通る、という形にはなりません。
計画期間の30年と大規模修繕2回については、回を追うごとに修繕の周期が早まる理由を書いたときに触れました。積立金の平均額のほうは、国が令和6年に示した引き上げ方の2つの数字にまとめてあります。
堺市に出すときだけ増える6項目
堺市の公表資料には、国の16項目に続けて市の追加基準が並んでいます。おおよそ次のような内容です。
- 耐震診断が未実施のマンションでは、認定の申請日から5年以内に耐震診断を実施することを総会等で決議していること
- 耐震診断を実施した旧耐震基準のマンション(昭和56年5月31日以前に建築確認を受けたもの)で耐震性が不足する場合は、示された基準のいずれかに適合すること
- 耐震改修計画の認定を受けている場合は、その工事が申請日から5年以内に完了することを長期修繕計画に記載していること
- 防災上の特色や管理組合が行う防災対策を「防災アクションプラン」として明文化し、管理規約等に定めること
- 管理組合専用の郵便受けを設置していること
- 建築基準法第12条第1項にもとづく定期報告で報告された要是正項目について、改善予定を長期修繕計画に記載していること
最後の1つは、外装の工事をする側から見ると重い項目です。定期報告で外壁や屋上に指摘が出ているなら、その改善予定を長期修繕計画へ書き込むことになります。報告書と計画書が別々の引き出しに入ったままでは、この要件は満たせません。
郵便受けの項目は素っ気なく見えます。ただ、管理組合あての郵便物がその年の理事の自宅に届いている状態だと、役員が代われば宛先も変わります。市から見れば、連絡が続く相手かどうかを確かめる項目です。
認定の有効期間は5年間で、満了日までに更新の申請をします。手数料は、事前確認適合証があれば6,500円、なければ30,400円です(長期修繕計画が1つの場合)。事前確認適合証は、講習を受けたマンション管理士に依頼し、公益財団法人マンション管理センターの確認を通すと出る書類です。窓口は建築都市局住宅部住宅施策推進課、電話は072-228-8215です。
見直しておくと、翌年度の固定資産税が3分の1減ります
マンション長寿命化促進税制という制度があります。要件を満たしたマンションが大規模修繕を終えると、翌年度の建物部分の固定資産税が減額されます。
堺市が示している要件です。
- 居住用の専有部分があり、新築された日から20年以上が経過していること
- 総戸数が10戸以上であること
- 過去に長寿命化工事が1回以上適切に実施されていること。外壁塗装、床防水、屋根防水の工事が必須です
- 令和3年9月1日以降に、修繕積立金を認定基準以上へ引き上げて管理計画の認定を受けたか、助言や指導を受けて長期修繕計画を見直していること
- 令和5年4月1日から令和9年3月31日の間に長寿命化工事が完了したものであること
4つ目をもう一度読んでください。長期修繕計画の見直しが、減額の入口に置かれています。認定まで進んでいなくても、市の助言や指導を受けて計画を見直すという道が用意されています。書庫にしまったままの計画書は、ここで効きません。
減額されるのは翌年度分の1年だけで、1回限りです。割合は建物部分の固定資産税額の3分の1、1戸あたり100平方メートル相当分までとなっています。この割合は市によって違います。横須賀市は2分の1です。
申告の期限は工事完了後3か月以内です。ここを落とすと、ほかの要件をすべて満たしていても減額は受けられません。工事が終わって足場が解けたあとは、竣工図書の受け取りや会計の締めで理事会が立て込む時期にあたります。カレンダーに先に書いておく類のものです。
令和9年3月31日までに工事を終える。総会の決議と業者の選定にかかる期間を逆算すると、残り時間はそれほど長くありません。
机の上だけでは、計画は見直せません
見直しというと、表計算の数字を入れ替える作業に見えます。先に必要なのは、建物の現況を確かめることです。
外壁を叩いて浮きを探す。屋上に上がって防水層を踏む。鉄部のサビがどこから出ているかを見る。そこで分かったことを工事の時期と概算金額に置き換えて、ようやく計画の形になります。
計画そのものに抜けがないかも見ます。屋上防水と外壁塗装は載っていても、ベランダの手すりの上にかぶさる笠木が工事項目に入っていない計画があります。項目にないものは、積み立てられていません。
堺市には分譲マンション向けの管理セミナーと個別相談会、専門家の派遣事業があります。市の相談窓口と、実際に建物を触る工事会社とでは、見えているものが違います。両方を使うのが早いはずです。
私たちの施工実績にも双葉シティプラザ大規模修繕工事が並んでいます。図面と現場を突き合わせる作業は、そのまま計画の見直しに使える材料になります。
まずは表紙の作成年月日を見てください
やることは1つです。長期修繕計画書を出してきて、表紙の作成年月日を確かめる。7年を超えていたら、次の理事会の議題に1行足します。
そのうえで、計画に書かれた工事の時期と、いまの建物の状態が合っているかどうか。ここは書類だけでは決まりません。計画では次の大規模修繕まで5年あるのに、外壁の浮きが先に進んでいることがあります。まだ持つと分かって、先送りできることもあります。
株式会社KYOEIは、大阪府堺市西区堀上緑町2-2-15から、堺市7区と大阪府南部で大規模修繕、外壁塗装、防水工事、雨漏り修理に伺っています。長期修繕計画の工事項目と実際の建物が合っているか、外壁と屋上を見て確かめるところからでもかまいません。電話は072-349-3278です。