「乾いたからもう大丈夫」は本当?雨漏りを放置した壁の中と、費用を請求できなくなる期限

皆さま、こんにちは!株式会社KYOEIです。

台風が抜けた翌朝、和室の天井に茶色い輪ができていました。雨がやんで2日もすると輪の色は薄くなり、指で触れても湿り気はありません。天井板は乾いたように見えます。

それで、様子を見ることになります。

秋に増える問い合わせには、この入り方が多くあります。一度乾いたので急いでいない、という状況です。ただ、乾いたのは天井板の表面だけです。しかも待っている間には、建物の傷みとは別に、減っていくものがもう1つあります。直す費用を誰かに求められる期間です。

答えから書きます

木は濡れてすぐ腐るわけではありません。国土技術政策総合研究所が2017年に出した資料には、腐朽の発生が確認されたのは含水率30%以上の状態が18週以上維持された試験体だった、という記述があります。18週はおよそ4か月です。

制度の側にも区切りがあります。新築から10年、そして気づいてから1年。建物を貸しているなら、家賃は貸主が動かないうちに下がります。

天井板が乾いても、その上は乾いていません

天井にできた輪は、屋根や外壁から入った水が下りてきた跡です。水が通ったのは、天井板の上の空間になります。野地板、垂木、梁、そして断熱材。

このうち断熱材がやっかいです。

グラスウールは繊維のすきまに空気をためて熱を止める材料で、水を含むと繊維が寝てしまいます。含んだ水も簡単には抜けません。天井板の表面は室内の空気に触れているので数日で乾きますが、断熱材の上の面は袋と野地板にはさまれています。風が通る場所ではありません。

先ほどの資料には、腐朽菌の生育に適する温度はおおよそ20℃から30℃だと書かれています。水分の側は、細胞壁が水で満たされる繊維飽和状態、含水率でいえば30%から150%程度が適しているとあります。堺の9月と10月は、この温度の帯にちょうど入ります。室内が過ごしやすい時期は、天井裏の菌にも過ごしやすい時期だということです。

木の強度は、腐れば落ちます。腐った木は水を抱えたままになり、シロアリの好む条件にも近づきます。天井板の張り替えで済んだはずの工事が野地板や垂木の交換まで広がるのは、この順で進んだあとです。

雨の入口が窓のまわりにありそうなら、サッシの水密性と、台風の日だけ水が入る理由も合わせて読んでみてください。

新築から10年という区切り

建ててから10年たっていない住宅なら、直す費用を建てた会社に求められる場合があります。根拠は住宅の品質確保の促進等に関する法律、いわゆる品確法の第94条です。

条文は、住宅を新築する建設工事の請負契約において、請負人は注文者に引き渡した時から10年間、構造耐力上主要な部分または雨水の浸入を防止する部分の瑕疵について担保の責任を負う、と定めています。買った住宅なら、第95条に売主の側の同じ10年があります。

「雨水の浸入を防止する部分」の中身は、施行令の第5条に書かれています。

  • 住宅の屋根と外壁
  • 屋根や外壁の開口部に設ける戸、わくその他の建具
  • 雨水を排除するために設ける排水管のうち、屋根や外壁の内部または屋内にある部分

サッシまわりも、壁の中を通る排水管も、この10年に入ります。

第94条の第2項には、注文者に不利な特約は無効だと書いてあります。契約書に「保証は2年」と印刷されていても、この10年のほうは消えません。

持ち込む先も決まっています。建設住宅性能評価書が交付された住宅と、住宅瑕疵担保責任保険が付いた住宅については、各地の弁護士会に置かれた住宅紛争審査会が、あっせん、調停、仲裁を行います。申請手数料は、あっせんも調停も仲裁も1万円です。大阪の窓口は大阪弁護士会の大阪住宅紛争審査会で、大阪市北区西天満1-12-5の大阪弁護士会館にあります。堺市からなら、電車で30分ほどの場所です。

気づいてから1年で、言う側の期限が先に切れます

10年あるから来年でいい、とはなりません。短いほうの期限が別に動いています。

民法第637条は、注文者が不適合を知った時から1年以内にその旨を請負人に通知しないと、履行の追完の請求も、報酬の減額の請求も、損害賠償の請求も、契約の解除もできない、と定めています。10年のなかにいても、この1年は進みます。

数え始めるのは、シミを見つけた日です。

必要なのは通知です。工事のやり直しまで求めなくてもかまいません。こういう不具合が出ていると伝え、記録に残れば足ります。電話だけで済ませると、あとで日付が争いになります。

写真は3枚あると話が早くなります。シミ全体が入る引きの1枚、輪の縁が分かる寄りの1枚、そして同じ日に撮った外まわりの1枚。スマートフォンで撮れば撮影日時も一緒に残ります。

貸している建物なら、家賃は請求を待たずに下がります

賃貸のマンションやアパートを持っている方には、もう1本の時計が回っています。

民法第611条第1項が扱うのは、賃借人のせいではない事情で借りている部屋の一部が使えなくなった場面です。そのとき賃料は「使用及び収益をすることができなくなった部分の割合に応じて、減額される」と条文にあります。

2020年4月1日に施行された改正で、この末尾が変わりました。改正前の条文は「減額を請求することができる」です。いまは「減額される」です。入居者が何も言わなくても、条文の側で下がります。

どれくらい下がるのかは、国土交通省の研究会が平成30年3月にまとめた事例集に実務の例が並んでいます。雨漏りでは、修繕期間30日で10%、60日で20%、90日で13%や25%といった数字が挙がっています。裁判例としては、天井や壁からの雨漏りで2階の3分の2以上が使えなくなった事案について、25%の減額を認めた名古屋地裁の判決が載っています。

ただし同じ事例集は、客観的な判断基準が示されているとはいえない状況だとも書いています。この数字をそのまま当てはめる話ではありません。それでも、直すのが遅れるほど貸主の側が不利になる向きは、条文からも事例からも読み取れます。

屋上からの雨漏りなら、防水層をやり直す判断が先に来ます。UKビルの屋上防水工事のような工事です。保険が使えるかどうかを先に確かめたい方は、雨漏りと火災保険の線引きにまとめてあります。

雨がやんだ日のうちにできること

見つけた日をメモに書く。写真を撮る。建てた会社か売った会社に、不具合が出ていると一報を入れる。ここまでは、その日のうちに終わります。

そのあとに、水がどこから入ったのかを調べる番が来ます。天井のシミの真上に穴が開いているとはかぎりません。屋根の谷、外壁のひび、サッシの取り合い、ベランダの立上り。入口と出口は離れます。

株式会社KYOEIは、大阪府堺市西区堀上緑町2-2-15から、堺市7区と大阪府南部で雨漏り修理と防水工事に伺っています。天井のシミは、乾いてしまう前の写真が残っていると調べる範囲を絞れます。電話は072-349-3278です。