「うちも近所と同じ築年数」は本当?堺市が数えた977棟と、北区と南区で逆だった年代の山
皆さま、こんにちは!株式会社KYOEIです。
理事会でよく出るのが、近所の建物を目安にする話です。「向かいのマンションが足場を組んだから、うちもそろそろやろ」「同じころに建ったはずやから、金額もあのくらいちゃうか」。
堺市には分譲マンションが977棟あります。市はこれを1棟ずつ数えて、建った年ごと、区ごとに表にまとめています。その表を開くと、近所を目安にしてよい区と、まったく当てにならない区に分かれます。
区ごとの数字と、そこから理事会で先に確かめておくことを書きます。
答えから書きます
北区と南区は、どちらも286棟でぴたりと並びます。ところが中身が正反対です。
北区は286棟のうち130棟が1971年以前に建ちました。南区は1971年以前が0棟で、そのかわり1972年から1981年までの10年間に160棟が集まっています。堺区の189棟には、そもそも山ができません。11に区切った年代のどこを見ても、いちばん多くて27棟です。
近所の建物を目安にできるのは南区くらいです。堺区では、隣のマンションと自分のマンションで竣工年が30年離れていることが普通にあります。
堺市は、分譲マンションを1棟ずつ数えている
もとになるのは、堺市が令和3年度に行った分譲マンション実態調査です。市内の分譲マンションは令和3年12月の時点で586団地、977棟、61,684戸ありました。
区ごとの内訳です。
- 堺区:189棟、15,762戸
- 中区:43棟、2,953戸
- 東区:49棟、4,322戸
- 西区:121棟、7,947戸
- 南区:286棟、13,668戸
- 北区:286棟、16,988戸
- 美原区:3棟、44戸
北区と南区と堺区の3区で761棟。市全体の8割近くがこの3区に集まっています。美原区は3棟44戸だけです。
棟数と戸数の順番がそろっていない点にも目を向けてください。戸数を棟数で割ると、1棟あたりの戸数が出ます。東区は88戸、堺区は83戸。いっぽう北区は59戸、南区は48戸で、美原区にいたっては15戸です。
同じ286棟でも、北区の建物と南区の建物では背の高さが違うということです。この差は工事の金額に直に効きます。棟の数が多くて背が低い団地型なら、足場を全棟同時に架けるか、棟を分けて2年か3年に散らすかで、仮設の費用も工期も変わるためです。
見積もりを近所と比べるなら、まず棟数と階数をそろえてから比べてください。
北区と南区は、棟数が同じで年代が逆
北区の286棟を、建った年で並べます。
- 1971年以前:130棟
- 1972〜76年:17棟
- 1977〜81年:6棟
- 1982〜86年:1棟
- 1987〜91年:3棟
- 1992〜96年:22棟
- 1997〜2001年:37棟
- 2002〜06年:34棟
- 2007〜11年:14棟
- 2012〜16年:9棟
- 2017年以降:13棟
1971年以前だけで130棟。北区の45%です。そのあと1982年から1991年までの10年間は、あわせて4棟しかありません。空白の帯をはさんで、1992年からまた増えていきます。
南区は形が逆になります。1971年以前が0棟。1972年から76年に51棟、1977年から81年に109棟、1982年から86年に38棟。この15年で198棟に達し、南区の7割がここに収まります。2012年以降に建った棟は、あわせて4棟です。
南区に泉北ニュータウンが広がっていることを思えば、この形は腑に落ちます。まちびらきが1967年12月で、事業が終わったのが1983年3月でした。同じ南区の中でも建った年に幅があることは、同じ泉北で修繕の時期が15年ずれる理由のほうで書きました。
堺区の189棟には、この山にあたるものがありません。1971年以前の3棟をのぞけば、どの年代にも7棟から27棟が入っています。いちばん多い2002年から06年でも27棟で、189棟の14%どまりです。1992年以降に建った棟だけで110棟あり、いまも建ち続けている区だと分かります。
だから堺区では、近所のマンションと歩調を合わせるという考え方が成り立ちません。
何回目の工事かで、見る場所が変わる
同じ調査では、管理組合へのアンケートも行っています。大規模修繕を実施したと答えた105組合のうち、実施回数は1回が53.3%、2回が17.1%、3回が21.9%、4回が4.8%、5回以上が2.9%でした。
手を入れた場所も聞いています。外壁の改修が96.1%、屋上防水が85.9%、鉄部などの塗装が82.8%。ここまではほとんどの組合が通ります。
数字が落ちるのはその先です。給水管の工事が21.1%、排水管の工事も21.1%、昇降機の設備工事は15.6%にとどまります。
外壁と屋上と鉄部は毎回。配管と昇降機に手が届いているのは、5組合に1組合ほど。
北区の130棟は、2026年のいま築55年を超えました。南区の109棟も築45年以上です。12年ごとに手を入れてきた建物なら、次は4回目か5回目にあたります。この帯に入ると、外壁の見積もりだけで予算を組んだあとから配管の話が出てきて、積立金が足りなくなります。
工事の間隔そのものも、回を追うごとに縮んでいきます。大規模修繕が回を追うごとに早まるほうの数字と合わせて見ておくと、総会での説明が組み立てやすくなります。
旧耐震が4割強という、もう1つの数え方
年代の話には、耐震基準で切る見方もあります。堺市の977棟のうち、旧耐震基準で建てられたものが424棟。全体の43.4%です。ところが戸数で数えると15,005戸で、24.3%まで下がります。
棟数では4割を超え、戸数では2割台に収まる。旧耐震の建物に、低層で戸数の少ないものが多いためです。
この調査は、管理の側の数字も拾っています。長期修繕計画を作成している組合が87.7%。作成していない組合が12.3%。積立の状況では、おおむね計画どおり積み立てられているという回答が49.6%で、このままでは修繕に支障があるという回答が14.8%ありました。大規模修繕そのものを実施していないと答えた組合も16.4%です。
計画の中身にも幅があります。計画期間を25年未満としている組合が29.3%。長期修繕計画の見直しに期限を切った7年という国の基準に照らすと、作ってあることと使えることは別だと分かります。
区の表で分かるのは、順番までです
自分の建物が市内のどのあたりの年代にいるか。区ごとの表から読み取れるのは、そこまでです。同じ年代でも、屋上の防水がどの工法か、配管が更新済みかどうかで、次の工事の中身は変わります。
図面が手元になくても構いません。棟の数、階数、外壁の仕上げ、前回の工事がいつだったか。この4つが分かれば、次に手を入れる順番の見当はつきます。
株式会社KYOEIは大阪府堺市西区堀上緑町2-2-15を拠点に、堺市7区と大阪府南部でマンションやビルの大規模修繕、外壁改修、防水工事を手がけています。小林住宅3・4号館耐震改修工事のような旧耐震の建物の現場も、双葉シティプラザ大規模修繕工事のような分譲マンションの現場も、どちらも仕事の柱です。
築年数が近いというだけで近所の金額を当てにする前に、一度うちに棟数と階数を教えてください。電話は072-349-3278です。