「一式」とだけ書かれた見積書は本当に危ない?2025年12月に建設業法が並べた、内訳の5つの費用

皆さま、こんにちは!株式会社KYOEIです。

3社に外壁塗装の見積もりを頼みました。届いた紙は、3枚ともよく似ています。「外壁塗装工事 一式」「足場工事 一式」「諸経費 一式」。品名の欄に並ぶ言葉はほとんど同じで、右端の合計だけが違う。

では、安いところに頼めばよいのでしょうか。

そう決めた方から、工事が始まってから「追加が出ました」と言われた、という相談が届きます。比べたつもりで、比べられていなかったわけです。

見積書に何を書くべきかは、2025年12月12日に建設業法の条文そのものが変わりました。国が費用の名前を5つ挙げて、条文の中に並べています。

先に答えを書きます

「一式」と書くこと自体は違法ではありません。ただし2025年12月12日から、建設業法は材料費、労務費、法定福利費、建設業退職金共済制度の掛金、安全衛生経費の内訳を書いた見積書を作るよう、建設業者に求めています。

作成は努力義務です。交付のほうは、注文者から請求があれば義務になります。施主の側から「内訳の入った見積書をください」と言ってかまいません。

2025年12月12日に、見積書の条文が書き換わった

国土交通省は令和7年11月14日の報道発表で、建設業法等の改正法が令和7年12月12日に完全施行されると公表しました。労務費や必要な経費が現場まで行き渡らない状態を直すための改正です。

書き換わったのは第20条でした。第1項はこうなっています。

建設業者は、建設工事の請負契約を締結するに際しては、工事内容に応じ、工事の種別ごとの材料費、労務費及び当該建設工事に従事する労働者による適正な施工を確保するために不可欠な経費として国土交通省令で定めるもの(以下この条において「材料費等」という。)その他当該建設工事の施工のために必要な経費の内訳並びに工事の工程ごとの作業及びその準備に必要な日数を記載した建設工事の見積書(以下この条において「材料費等記載見積書」という。)を作成するよう努めなければならない。

建設業法 第20条第1項

読みにくい条文なので、分けて書きます。工事の種別ごとに材料費と労務費を出すこと。適正な施工に欠かせない経費として国が定めたものを出すこと。工程ごとに何日かかるかを書くこと。

国が定めた経費は、法定福利費、安全衛生経費、建設業退職金共済制度の掛金です。材料費と労務費を合わせて5つ。この5つが並んだ見積書に、法律は「材料費等記載見積書」という名前を付けました。

末尾は「作成するよう努めなければならない」です。努力義務であって、書かなくても罰則があるわけではありません。それでも、費用の名前が条文に並んだ意味は小さくありません。何を書けばよいのか分からなかった、という言い訳が通らなくなりました。

請求すれば、交付のほうは義務になる

同じ第20条の第4項に、頼む側から見て効く一文があります。

建設工事の注文者は、当該建設工事に係る材料費等記載見積書の内容を考慮するよう努めるものとし、建設業者は、建設工事の注文者から請求があつたときは、請負契約が成立するまでに、当該材料費等記載見積書を交付しなければならない。

建設業法 第20条第4項

「交付しなければならない」。ここは義務です。しかも「請負契約が成立するまでに」と時期まで書いてあります。契約書に判を押す前、という意味になります。

契約の書面にも決まりがあります。建設業法第19条第1項は、請負契約の当事者が書面に書く事項を16号にわたって挙げています。工事内容、請負代金の額、着手と完成の時期、工事を施工しない日または時間帯、検査の時期と方法、引渡しの時期、契約に適合しないものがあったときの責任、紛争の解決方法。そこまで書いて、双方が署名または記名押印して交わすことになっています。

ただし、気をつけておきたい線引きがあります。第20条の相手は「建設業者」です。建設業法第2条第3項は、建設業者を「第三条第一項の許可を受けて建設業を営む者」と定めています。許可を持たない会社は、この条文の名宛人に入りません。

そして建設業法施行令第1条の2は、請負代金が500万円に満たない工事を「軽微な建設工事」として、許可がなくても請け負えるものとしています(建築一式工事なら1,500万円)。戸建ての外壁塗装は、多くがこの金額の内側です。改正で新しく入った国土交通大臣等の勧告も、対象は500万円以上の工事とされました。

法律は、戸建ての塗り替えの現場まで降りてきません。だから、こちらから聞くしかないのです。

国が発注する工事では、書き方そのものが決まっている

民間のリフォームの見積書に、決まった書式はありません。公共工事のほうは違います。

国土交通省の官庁営繕部が「公共建築工事内訳書標準書式(建築工事編)」というものを定めています。平成15年3月31日の国営計第196号で出され、直近では令和7年12月10日の国営積第2号で改定されました。内訳書を種目別、科目別、細目別と段階に分けて書いていく様式です。いちばん細かい段まで下りて、工種ごとに数量と単価を出し、そこから金額を積み上げます。

私たちの施工実績にも、柏里第2住宅5・6号館外壁改修そのほか工事高見住宅25・44号館外壁部分改修その他工事のように、住宅を棟単位で改修した工事が並びます。とくに部分改修は、どの面のどの範囲を直すのかを拾い出さないと数量が出ません。「外壁改修工事 一式」の一行では、そもそも書類が受け取ってもらえません。

同じ会社が、民間の見積もりになると紙1枚で済ませることがあります。書式の縛りがないからです。裏を返せば、頼めば出せる会社は少なくない、ということでもあります。

「一式」でよい欄と、数量が出るはずの欄

見積書のすべての行に数量が入るわけではありません。分けて考えます。

数量が出るはずの欄です。

  • 足場:掛ける面の広さ(架面積、単位は平方メートル)
  • 高圧洗浄:洗う面積(平方メートル)
  • 下塗り、中塗り、上塗り:塗る面積(平方メートル)
  • シーリングの打ち替え:長さ(メートル)
  • 雨樋や破風などの鉄部と木部:長さまたは箇所数

「一式」でも無理のない欄です。

  • 現場管理費、諸経費
  • 廃材の処分
  • 近隣へのあいさつまわり

塗る面積は、家の坪数から出せるものではありません。窓やドアの分を引き、庇や軒天を足して、はじめて数字が出ます。この計算については「30坪の家」の塗装面積はなぜ30坪じゃない?にまとめました。

足場の面積も同じです。堺の古い住宅地では、隣家との隙間や前面道路の幅で足場の種類が変わります。隣家との1メートルで本足場かどうかが決まるため、同じ延床面積の家でも架面積と単価がそろいません。「足場工事 一式」の1行では、3社の紙を横に並べても差の理由が読めないのです。

3枚を比べるときは、次の4つを見てください。

  • 3社の平方メートルの数字がそろっているか。開いているなら、誰かが測っていない
  • 塗料のメーカー名と製品名、そして塗る回数が書かれているか
  • シーリングが打ち替えなのか、増し打ちなのか
  • 足場の面積と、単価

その場で契約を求められた見積もりなら、リフォームのクーリング・オフ、8日間の数え方も先に読んでおいてください。

金額の前に、数量の欄を見てください

合計金額は、いちばん最後に見る数字です。先に見るのは、その左にある数量と単位。ここがそろっていない3枚は、そもそも同じ工事の見積書ではありません。

内訳が付いていなければ、頼めば済みます。建設業法第20条第4項が、請求されたら交付するよう建設業者に義務づけています。渋る相手なら、その反応そのものが判断材料になります。

株式会社KYOEIは、大阪府堺市西区堀上緑町2-2-15から、堺市7区と大阪府南部で外壁塗装、防水工事、大規模修繕、雨漏り修理に伺っています。棟単位の改修で数量を拾ってきたやり方を、戸建ての塗り替えでも変えていません。

お手元の見積書の写真を送っていただければ、どの行に数量が要るかをご説明します。電話は072-349-3278です。