「屋上のコンクリートは防水層」は本当?3メートルおきの『伸縮目地』がせり上がる理由

皆さま、こんにちは!株式会社KYOEIです。

理事会で防水の話が出たので、役員2人で屋上に上がってみた。床は平らなコンクリートで、黒い帯が格子のように走っています。近づくと、その帯の一部が数センチ持ち上がり、ゴムのような材料が斜めに飛び出していました。床にはひび割れも見えます。

「防水がもう寿命ということでしょうか」

こうした写真が管理組合から届きます。飛び出した黒い帯には名前があり、その位置は国の仕様書で決まっています。持ち上がりが何を知らせているのかも、そこから読み取れます。

先に答えを書きます

屋上に打ってある平らなコンクリートは、防水層そのものではありません。防水層を守るために上から打った保護層です。黒い帯は伸縮目地といい、国土交通省の公共建築工事標準仕様書は、立上り部から600ミリ程度、中間部は縦横3,000ミリ程度という割付けを示しています。

目地のせり上がりは、夏に伸びたコンクリートが逃げ場を探しているサインです。逃げ場が働かなくなると、力は屋上の周りの壁へ向かいます。

屋上の床は、防水層の上に載っている別の層です

歩ける屋上のつくりを、下から順に見てみます。

建物の構造体であるコンクリートの床があり、その上にアスファルト防水の層があります。防水層の上にはポリエチレンフィルムを敷きます。国土交通省の公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和4年版は、このフィルムを「重ね幅 100mm 程度で敷き並べ、接着テープ、シール材等で要所を固定する」としています。防水層と、この上に打つコンクリートを縁切りするための層です。

その上に溶接金網を置きます。同じ仕様書では「JIS G 3551(溶接金網及び鉄筋格子)に基づき、鉄線の径6mm、網目寸法100mm とする」と決めています。そして最後にコンクリートを打ちます。厚さは「こて仕上げの場合は 80mm 以上とし、床タイル張り等の仕上げの場合は 60mm 以上とする」。

つまり、屋上の床として見えている面は、鉄線の入った8センチ以上のコンクリートです。

なぜここまでするのか。アスファルト防水の層は、紫外線と熱に弱く、人が歩けば傷みます。屋上に室外機や物置を置けばなおさらです。そこで、防水層の上にコンクリートの板をかぶせて、日射と歩行から守ります。この納まりを保護防水と呼びます。

だから、床のひび割れを見つけても、そのまま防水層のひび割れだと決められません。割れているのは、上に載っているほうかもしれないからです。

600ミリと3,000ミリ。目地の位置は決まっています

同じ仕様書に、目地の割付けを定めた一文があります。

伸縮目地の割付けは、周辺の立上り部の仕上り面から 600mm 程度とし、中間部は縦横間隔 3,000mm 程度とする。

公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和4年版 9章2節

理由は単純です。コンクリートは温度が上がると伸びます。屋上は建物のなかで最も日射を受ける面で、夏の昼と冬の朝では、表面の温度が大きく開きます。

もし8センチのコンクリートが継ぎ目なく一枚で屋上いっぱいに広がっていたら、伸びた分の行き場がありません。行き場のない力は、周りにある壁を押します。そこで3メートルごとに切れ目を入れ、伸びた分をその隙間で吸わせます。壁際に600ミリの目地を回すのも、壁を直接押させないためです。

管理組合の点検でも、ここは確認できます。歩幅で目地の間隔をおおまかに測り、3メートルよりかなり広い区画がないかを見ます。パラペットの際に目地が回っているかも見ます。排水口のまわりも同じです。

せり上がった目地が知らせていること

目地材が押し出されて浮いているとき、コンクリートは確かに伸びています。ここまでは、目地が役目を果たしている状態です。

問題になるのは、目地が保護コンクリートの下まで届いていない場合です。成形伸縮目地材のメーカーは、施工上の注意としてこう書いています。

目地が押え層の全断面に入らない場合、目地下部の押えコンクリートがつながってしまい、夏期に押えコンクリートが膨張するとき、何の効力も発揮できずにパラペットを押し出し、外装部分を破壊して事故を起こしてしまうのです。

上から見れば目地は入っています。ところが底でコンクリートがつながっていれば、切れ目としては働きません。夏ごとに少しずつ、屋上の周りの壁が外へ押されていきます。

押された壁には、その先の症状が出ます。ベランダや屋上の手すり壁の上にかぶせた金物がずれて、笠木の継ぎ目から水が入る経路ができます。壁のコンクリートにひび割れが走り、進めば鉄筋がさびて表面がはがれ落ちるところまで行きます。立上りの防水層が引っぱられて切れることもあります。

目地材が抜けて溝が空になっている場合は、別の話が始まります。雨水がそこから保護コンクリートの下へ入り、防水層の上を横に走ります。屋上の水は最後に排水口へ集まるため、天井のシミの位置と、水が入った場所は一致しません。

屋上で起きたことが、屋上以外の場所に出る。保護防水の建物で調査が長引くのは、たいていこれが理由です。

直すときに、コンクリートを全部はつるのか

改修の道は2つあります。保護コンクリートを壊して防水層からやり直すか、残したまま上に新しい防水層をかぶせるかです。

撤去する場合を考えます。壊す相手は、鉄線の入った8センチ以上のコンクリートです。はつりの音と振動が上の階に響き、出たガラを下ろす手間もかかります。人が住んでいる建物では、この期間の負担が判断を左右します。

残す場合は、既存の上に新しい防水層をかぶせます。塩化ビニル樹脂系のシートを金具で留める機械的固定工法が、この納まりでよく選ばれます。ガラが出ず、工期も短く収まります。国土交通省の公共建築改修工事標準仕様書にも、既存の保護層を撤去する種別と、存置したまま改修する種別の両方が並んでいます。

ただし、かぶせられるかどうかは屋上を見ないと決められません。私たちが上がって確かめるのは、目地材の残り方、ひび割れの幅と本数、コンクリートを叩いたときの浮き、排水口まわりの納まり、そして下地がどれだけ水を含んでいるかです。含水が多ければ、かぶせた後に膨れが出ます。

工事の金額と日数は、この確認が終わってからでないと出せません。同じ面積の屋上でも、撤去と存置では別の工事になります。大規模修繕の周期を実態から考えるときにも、屋上をどちらで直すかは積立金の組み立てに効いてきます。

私たちの施工実績にもUKビル屋上防水工事が並んでいます。ビルの屋上でも、住宅を棟単位で改修した現場でも、最初にやることは変わりません。目地を見て、叩いて、水の行き先をたどります。

屋上に上がったら、この3つを見てください

黒い帯の間隔。壁際に目地が回っているか。そして、飛び出している目地材があるか。

この3つは、専門の道具がなくても写真に撮れます。撮っておけば、防水の見積もりを取るときに「撤去なのか、かぶせるのか」を業者と同じ土俵で話せます。

株式会社KYOEIは、大阪府堺市西区堀上緑町2-2-15から、堺市7区と大阪府南部で大規模修繕、防水工事、外壁塗装、雨漏り修理に伺っています。屋上の写真を送っていただければ、目地の割付けと保護コンクリートの状態から、どちらの改修が現実的かをご説明します。電話は072-349-3278です。