「屋上が空いているから物置を」は本当に大丈夫?メーカーが『屋上には設置しないで』と書く理由と、床が見込む重さの3倍差

皆さま、こんにちは!株式会社KYOEIです。

3階建ての賃貸ビルで、テナントから備品の置き場所が足りないと相談された。見上げれば、点検のときにしか上がらない屋上が空いている。ホームセンターで見た物置をあそこに置けば片づく、と考えたくなります。

戸建てでも同じ話が出ます。屋根が平らな陸屋根(ろくやね)の家なら、屋上は庭と同じくらい広く見えます。

置く前に、物置のメーカー自身が何と書いているかを見てください。そこに答えがほぼ出ています。この記事では、屋上に物置を置いたときに建物の側で起きることを、重さと防水と風の順に整理しました。

答えから書きます

物置大手のヨドコウは、安全に関するご注意のページで「建物の屋上には、設置しないでください。」と書いています。物置は地面に置く前提で設計されているからです。

建物の側にも理由があります。物置の床が受け止めるつもりの重さは、法令が屋上広場の床に見込んでよいとする重さの3倍を超えます。露出した防水層は、点検で人が歩く程度しか想定していません。そして屋上は、地面より強い風を受けます。

物置メーカーは、屋上をはっきり外しています

ヨドコウのよくある質問には、屋上について次の説明があります。

地面設置専用に設計されているため、屋上等への設置は安全上の理由からおやめください。

ヨドコウ「よくある質問」

同じページは、マンションのベランダも消防法上の避難通路や、管理規約上の共有スペースにあたる可能性があると続けています。

もう1つ、見落とされやすい記述があります。ヨドコウは、強風による転倒を防ぐためのアンカー工事を必須としています。地面なら、コンクリートの基礎にアンカーを効かせれば済みます。

屋上では話が逆になります。

固定しようとして床にアンカーを打てば、その穴は防水層を突き抜けます。固定しなければ、メーカーが必須とした転倒防止が抜けます。どちらを選んでも、建物のどこかが割を食う形です。メーカーが最初から屋上を外しているのは、この板挟みがあるからだと読めます。

物置の床は、屋上の床の3倍の重さを見込んでいる

建築基準法施行令第85条は、床の上に載る人や物の重さ(積載荷重)を、部屋の種類ごとに表にしています。屋上広場とバルコニーは、学校と百貨店を除き、住宅の居室と同じ欄の数値を使ってよいことになっています。床を構造計算するときの数値は、1平方メートルあたり1,800 N(ニュートン)です。重さに直すと、およそ180キログラムにあたります。

一方で、ヨドコウの中型・大型物置「エルモ」の床は、耐荷重6,000 N/m2(約600kgf/m2)とカタログに書かれています。物置の中に詰めてよい重さが、屋上広場の床に見込まれている重さの3倍を超えるわけです。

しかもこれは、人が上がって使う屋上広場の話です。

点検でしか人が上がらない屋上が、どの数値で計算されているかは、建物ごとに違います。施行令は、表にない場所の積載荷重を「実況に応じて」計算するよう定めているため、答えは構造図と構造計算書の中にしかありません。

重さは面で均等にかかるとも限りません。物置は脚やコンクリートブロックの数か所で床に接します。棚に工具や書類の箱を積めば、その下の数十センチ四方に重さが集まります。

防水層は「点検で歩く」くらいまでしか想定していない

防水材メーカーの日新工業は、防水の用途を歩き方で分けて説明しています。

  • 非歩行:点検や清掃など、メンテナンス程度の歩行
  • 軽歩行:マンションの住民のように決まった人が、ゴム底の靴やスリッパで歩く
  • 歩行:不特定多数の人が歩き、台車も通る

同社の説明では、アスファルト防水を露出で仕上げた屋上は非歩行が基本です。シート防水も一般には非歩行、ウレタンなどの塗膜防水は軽歩行が基本とされています。

物置は、この区分のどれにも入りません。同じ場所に何年も重さをかけ続けるからです。

ブロックの角が当たる箇所には、物置と中身の重さが何年も集中し続けます。物置の下は日が当たらず乾きにくい。風で運ばれた砂やごみも物置の陰にたまり、排水口をふさぐ原因になります。屋上の雨漏りが排水口から始まる理由で書いたとおり、水の逃げ道が詰まると、雨は防水層の弱いところを探しにいきます。

防水層の上にコンクリートを打った屋上は、事情が少し違います。押えコンクリートのある屋上は、日新工業の区分では重歩行まで対応する組み方です。ただ、その場合もコンクリートにアンカーを打てば、下の防水層まで届くおそれがあります。

もう1つ残るのが、次の防水改修のときの手間。物置を空にして、どかさないと工事に入れません。

屋上の風は、地面の風より強く計算される

建築基準法施行令第87条は、建物が受ける風の力(風圧力)を「速度圧」に係数をかけて求めると定めています。速度圧の式に入る係数Eは、屋根の高さと周りの建物や樹木の状況から出す決まりです。同じ土地でも、高い位置ほど風の力は大きく見込まれます。

物置メーカーが試験しているのは、地面に置いた状態です。3階建ての屋上は、その前提から外れます。

堺市は西側が大阪湾に面しています。近畿に台風が近づく9月の風と屋根の関係は2022年に変わった屋根の基準にまとめました。屋根の瓦は国の基準で留め方が決められていますが、屋上に置いた物置は、メーカーの想定の外に出た時点で誰も強さを保証していない状態になります。飛ばされれば、隣の建物や道路に落ちます。

それでも屋上を使いたいときに、先に確かめること

置き場所がどうしても足りないなら、物置を買う前に次を確かめてください。

  • 構造図や構造計算書で、屋上の積載荷重をいくつで計算しているか
  • 防水の種類と、非歩行か軽歩行か
  • 置きたい位置が排水口や排水の流れにかからないか
  • 固定の方法が、防水層に穴を開けずに済むか
  • マンションなら、屋上が共用部分として管理規約でどう扱われているか

1つ目は設計事務所か、建てた会社の図面で分かります。2つ目と3つ目は、防水工事をした会社なら現地で見れば答えられます。

屋上に上がって、防水の表面を見てください

砂粒の付いたざらざらのシートなら、露出のアスファルト防水です。つるりとしたシートならシート防水、継ぎ目のないゴムのような面ならウレタンなどの塗膜防水と見当がつきます。コンクリートが見えていて、3メートルほどの間隔で目地が入っていれば、押えコンクリートの屋上です。どれか分からなければ、写真を撮っておけば判断の材料になります。

株式会社KYOEIは、大阪府堺市西区堀上緑町2-2-15から、堺市7区と大阪府南部で大規模修繕、外壁塗装、防水工事、雨漏り修理に伺っています。施工実績にはUKビル屋上防水工事があります。

物置を置く前の屋上でも、すでに置いてしまった屋上でも、防水層の状態は見られます。電話は072-349-3278です。