「足場が外れたら工事は終わり」は本当?大規模修繕の『アフター点検』で見る場所と、保険が5年で線を引く部分
皆さま、こんにちは!株式会社KYOEIです。
大規模修繕の足場が外れて、半年ほどたった。管理組合の理事会に、施工会社から「1年目のアフター点検」の案内が届いた。日程を決めてくださいと書いてあるものの、理事の側で何を用意し、当日どこを見てもらえばいいのかは書いていない。前の理事から引き継いだ書類の束に、保証書らしきものがあった気もします。
点検は、施工会社が勝手に回って帰る行事ではありません。管理組合が不具合を申し出て、記録に残すための場です。この記事を読めば、点検の前に手元にそろえる書類と、居住者から集めておく情報と、当日に指さして見てもらう場所が分かります。
答えから書きます
アフター点検を何年目に何回するかは、法令ではなく、工事の契約と保証書で決まります。まず保証書を探し、工事完了日と、部位ごとの保証期間を確かめてください。
工事に大規模修繕工事瑕疵(かし)保険が付いていれば、屋上や外壁の防水など、雨水の入り口になる部分は、公開資料を確かめた2社の商品でどちらも基本5年が保険期間です。一方で、外壁の塗膜の剥がれは、標準の保険では対象から外れている商品があります。点検では、この期限の内側にある不具合を、居住者の声と写真で漏れなく拾っておきます。
点検の予定と保証の期間は、どこに書いてあるのか
大規模修繕のアフター点検を何年目に行うかを定めた法令はありません。1年目と2年目で終える契約もあれば、5年目や10年目まで入れている契約もあります。答えは、工事請負契約書と、工事の完了時に施工会社から渡された保証書の中にあります。
保証書では、次の3つを確かめます。
- 保証の起算日(工事完了日か、引き渡し日か)
- 部位ごとの保証期間(屋上防水、外壁、シーリング、鉄部の塗装など)
- 保証の対象外として挙げている事由(台風などの災害、経年の変化、居住者の使い方)
保証書が見当たらないときは、施工会社か管理会社に写しを頼んでください。理事が1年や2年で交代すると、書類はどこかで散ります。
期限にはもう1つ、民法の側の数え方があります。請負の契約で不具合を見つけたら、知った時から1年以内に施工会社へ通知しないと、直してほしいという請求ができなくなります。この1年の数え方は雨漏りを放置したときの期限で詳しく書きました。点検で見つけた不具合は、見つけた日付と一緒に書面で残してください。
瑕疵保険が5年で見ている部分と、見ていない部分
大規模修繕工事瑕疵保険は、工事会社が保険法人と契約する保険です。国土交通省の概要では、保険期間は対象の部分によって1年から10年、免責金額は10万円、保険金の支払割合は事業者に対して80%とされています。工事会社が倒産して直せなくなったときは、管理組合が保険法人に直接請求でき、その場合の支払割合は100%です。
どの部分が何年かは、保険法人ごとに組み方が違います。2社の公開資料を並べると、次のとおりです。
- 住宅あんしん保証「あんしん大規模修繕工事瑕疵保険」:保険期間は工事完了日から5年間。防水工事の部分は、特約を付ければ10年間に延びる。外壁の塗膜は、外壁塗膜補償特約を付けたときだけ対象になり、著しい膨れ、剥がれ、割れが条件
- 住宅保証機構「まもりすまい大規模修繕かし保険」:雨水の浸入を防ぐ部分は5年間(防水工事の10年特約で10年)。手すりなど鉄部の防錆工事は2年間、共用部分の内装と設備は1年間
外壁を塗り替えたのだから外壁の見た目も5年守られている、とは限らないわけです。
保険が扱わないものも決まっています。住宅あんしん保証の案内では、経年による消耗、さび、かび、変色に加え、台風や暴風雨、豪雨による損害を支払いの対象外としています。台風のあとに出た雨漏りは、工事の不具合か災害かで窓口が変わります。災害側の話は雨漏りと火災保険の線引きにまとめています。
点検の前に、居住者から集めておくこと
施工会社の点検員が歩いて見て回れるのは、共用部分のうち外から見える範囲です。専有部分の中やベランダの奥で何が起きているかは、住んでいる人にしか分かりません。
そこで、点検の2週間から1か月前に、全戸へ簡単な書面を配ります。聞くことは3つ。場所と症状と、気づいた時期です。
- 天井や壁のシミ、雨の日だけ窓まわりが濡れる
- ベランダの床の塗装の剥がれ、排水口のまわりの水たまり
- 手すりや物干し金物のさび
- 外壁のひび割れや、シーリングの切れ目が室内から見える
回答には部屋番号と写真を付けてもらいます。写真に撮った日付が残れば、それがそのまま「いつ知ったか」の記録になります。
書面は各戸のポストに入れるだけでなく、掲示板にも同じ内容を貼っておきます。回収箱を管理室の前に置けば、理事が1軒ずつ回らずに済みます。
点検の当日、立ち会う理事が指さす場所
当日は、居住者の回答を一覧にして点検員に渡し、1件ずつ見てもらいます。そのうえで、管理組合の側から見てほしい場所を挙げます。上の2社の保険では、雨水の入り口になる部分が鉄部や内装より長い期間で見られています。ここを優先します。
- 屋上の排水口(ルーフドレン)のまわり。防水の端部と排水口のつなぎ目は、屋上の雨漏りが排水口から始まることが多い場所です
- ベランダや外廊下の手すりの上の笠木。笠木の継ぎ目から入った水は、下の階の天井に出ます
- 鉄骨階段や手すりの塗装。鉄部の保険期間は短く設定されていることがあるため、早い年次の点検で見ておきます。塗る前の下地処理の等級が契約でどう決まっていたかも、仕様書で確かめられます
- 外壁のシーリングの切れと、新たに出たひび割れ
点検が終わったら、指摘した箇所と施工会社の判断(補修する、経過を見る、対象外)を書いた報告書を必ずもらいます。口頭で「様子を見ましょう」と言われた箇所ほど、書面に残してください。次の点検や次の理事会で、同じ場所の変化を比べる手がかりになります。
保証書と工事完了日を、理事会の引き継ぎに入れる
アフター点検の価値は、期限の内側で不具合を書面に残せるかどうかで決まります。まず保証書と工事完了日を確かめ、保険が付いているなら保険法人の名前と特約の有無を契約書から拾ってください。そのうえで居住者から写真を集め、当日は雨水の入り口を優先して見てもらいます。保証書の写しは、理事が交代しても次の人に渡る場所へしまっておきます。
株式会社KYOEIは、大阪府堺市西区堀上緑町2-2-15を拠点に、堺市7区と大阪府南部で大規模修繕、外壁塗装、防水工事、雨漏り修理を手がけています。施工実績には双葉シティプラザ大規模修繕工事があります。
ほかの会社が施工したマンションでも、点検で「経過を見る」と言われた箇所の状態を見に伺えます。電話は072-349-3278です。