「屋根は塗り直せば長もちする」は本当?スレート屋根の塗装をメーカーが『美観のため』と書く理由と、葺き替えを考える年数

皆さま、こんにちは!株式会社KYOEIです。

築20年あまりの家に、屋根の点検をしたという業者が訪ねてきた。スマートフォンで撮った写真を見せられると、灰色の板を並べた屋根は色が抜けて白っぽく、ところどころ黒ずんでいます。「このままだと雨漏りします。塗装か葺き替えか、早めに決めてください」。屋根材ごと取り替える工事より、上から塗る工事のほうが手軽に思えて、まず塗装を考えたくなるところです。

この記事を読むと、屋根の塗装で守れるものと守れないもの、そして葺き替えやカバー工法(今の屋根の上に新しい屋根材をかぶせる工事)を考える目安が分かります。

先に答えを書きます

化粧スレート(セメントを薄い板にした屋根材。カラーベストやコロニアルの商品名で知られています)のメーカー、ケイミューは、色が薄くなっても屋根材の基本性能に問題はないとし、再塗装は美観のためと書いています。「雨漏りは再塗装では直りません」とも明記しています。住宅金融支援機構の目安では、化粧スレートは15〜30年位で全面葺替えを検討します。色あせだけなら塗装、割れや雨漏り、屋根の下に敷いた防水シートの寿命が絡むなら葺き替えかカバー工法、という順で考えます。

屋根の塗装は、何を守るためにするのか

ケイミューは、カラーベスト コロニアルクァッドのメンテナンス案内(2024年7月現在)にこう書いています。

「弊社スレート屋根材は、表面の色が薄くなったり、汚れがついた場合でも屋根材としての基本性能は問題ありません。」

同じ紙に「美観の維持・向上を図るには、再塗装を行ってください」とあり、塗装は見た目を保つための手段という扱いです。再塗装用の塗料のカタログでも、色が薄くなっても基材に損傷などがなければ防水性などに問題はなく、塗料は美観の回復と向上のためのもの、と説明しています。

屋根材の種類で、塗装の意味は変わります。住宅金融支援機構の「マイホーム維持管理の目安」で屋根の行を比べると、違いがはっきりします。

金属板葺き:点検は2〜3年ごと。3〜5年ごとに塗替え、10〜15年位で全面葺替えを検討
屋根用化粧スレート葺き:点検は4〜6年ごと。15〜30年位で全面葺替えを検討
瓦葺き:点検は5〜6年ごと。20〜30年位で全面葺替えを検討

塗替えの年数が書かれているのは金属板だけです。鋼板は塗膜が切れるとさびが進むため、塗装がそのまま屋根の寿命にかかわります。化粧スレートと瓦の行には、塗替えの欄がありません。目安の年数が来たら、塗るかどうかより先に、全面葺替えを検討する時期という書き方です。

塗装では直せないものが3つある

1つ目は雨漏りです。ケイミューの案内は、注意書きで「雨漏りは再塗装では直りません」と念を押しています。天井にシミが出ているなら、塗る前に水の入り口を探すのが先です。

2つ目は割れです。同じ案内は、屋根材の部分的な割れやクラックは、差し替えや接着で補修できるとしています。割れた板の上から塗料をかけても、割れはふさがりません。

3つ目は、屋根材の下に敷く防水シート(下ぶき材)。住宅瑕疵担保責任保険の設計施工基準は、第7条第2項で、木造住宅の屋根に下ぶきを施すこと、材料はアスファルトルーフィング940かそれと同等以上の防水性能をもつもの、重ねは上下100ミリ以上、左右200ミリ以上と定めています。屋根の防水は、表面の板とその下のシートの二重構造。塗装は表面にしか届かず、下のシートを取り替えるには屋根材をいったん外す葺き替えが必要です。

塗る場合も、手順を誤ると雨漏りを招きます。ケイミューは再塗装用の塗料のカタログで、重なり目に塗料がたまると雨漏れにつながるため必ず「縁切り」をするよう求めています。一方で、差し込み型の縁切り補助部材は割れの原因になるので使わないよう書いています。縁切りが必要な理由は屋根塗装の縁切り(タスペーサー)の記事で書きましたが、道具の選び方は、屋根材メーカーの指示を先に確かめてください。

葺き替えかカバー工法かを分ける「2004年」

屋根の工事を考えるとき、築年数の中で見ておきたい年があります。国土交通省の「目で見るアスベスト建材(第2版)」は、石綿を含む住宅屋根用化粧スレートの製造時期を1961〜2004年としています。

ケイミューは、自社と前身の会社の屋根材について、製品名と製造期間の一覧を「石綿に関する見解書」(第7版、令和7年12月)で公開しています。たとえばコロニアルは昭和36年から平成6年、ニューコロニアルは昭和54年から平成13年の製造で、どちらも法規制を受ける側に入っています。かつて「無石綿」と表示していた商品の一部も、再分析で0.1%を超える含有が分かり、規制の対象に加えられました。見解書は、通常の使用であればセメントで固定されているため、健康面への影響は特にないとしています。

工事の方法で、扱いが分かれます。ケイミューの別の資料(第5版、令和6年12月)は、既存の塗装の上に新たに塗る作業のように、今ある材料を取り除かず足すだけの作業を、石綿の事前調査が要らない例に挙げています。葺き替えで屋根材を撤去する場合は違います。大気汚染防止法施行規則は、石綿を含む成形板を除去するとき、切断や破砕をせずにそのまま取り外すことを作業の基準にしています。撤去と処分の手間が増えるため、2004年以前の屋根では、今の屋根を残して上からかぶせるカバー工法も比べる候補に入ります。

事前調査の資格と、堺市への報告の要否は外壁の塗り替えとアスベストの事前調査の記事にまとめました。家の建築時期と屋根材の商品名が分かると、ここでの判断が早くなります。

堺で屋根の時期を考えるなら、台風のあとと耐震の話を一緒に

住宅金融支援機構の目安は、屋根には日常の手入れは特に要らないとしつつ、台風や強風のあとは浮きやガタつきがないか点検するよう勧めています。ただし屋根に上がるのは転落の危険が大きく、修理は専門業者に任せるように、とも書いています。点検は地上や窓から見える範囲にとどめてください。

堺にとって、強風は遠い話ではありません。気象庁によると、2018年9月4日の台風第21号で、堺の観測所は最大瞬間風速43.6メートルを記録しました。それまでの観測史上1位だった25.7メートルを大きく上回る値です。あの台風のあと屋根を一度も見ていないなら、地上から棟の金物や板のずれを確かめておく価値があります。

重さの面では、市の制度も関わってきます。堺市住宅・建築物耐震改修等補助金交付要綱は、耐震改修工事で補助の対象になる工事費の1つに「屋根の軽量化工事費」を挙げています。古い木造住宅で耐震改修をする計画があるなら、屋根の工事を単独で決める前に、耐震の計画と一緒に考えたほうが筋が通ります。補助の条件と金額は堺市の補助金と外壁塗装の記事で触れています。瓦屋根の台風対策は2022年に変わった屋根の基準の記事をご覧ください。

色あせの写真だけで決めず、3つを控えておく

塗装か葺き替えかを決める前に、手元で確かめられることがあります。家の建築時期、屋根材の商品名(新築時の仕様書や図面に書かれています)、そして天井や小屋裏に雨の跡があるかどうかです。色あせだけで、割れも雨漏りもなければ、メーカーの説明では性能の問題ではなく見た目の問題です。塗装を急ぐ理由はありません。2004年以前の化粧スレートで割れや雨漏りがあるなら、カバー工法と葺き替えを並べて見積もりを取ってください。

株式会社KYOEIは、大阪府堺市西区堀上緑町2-2-15を拠点に、堺市7区と大阪府南部で外壁塗装、防水工事、雨漏り修理を手がけています。施工実績には小林住宅3・4号館耐震改修工事もあります。天井のシミと屋根の写真を見比べて、塗装で足りるのかを確かめたいときは、072-349-3278へお電話ください。