「調査済みだから外壁も安心」は本当?中古住宅の建物状況調査が見る2か所と、引き渡し後の点検
皆さま、こんにちは!株式会社KYOEIです。
中古の戸建てを買って、鍵を受け取りました。契約のときに渡された紙の束のどこかに、重要事項説明書があります。その中ほどに「建物状況調査」という欄があって、実施の有無に丸がついています。それなのに、外壁があと何年もつのかも、次の塗り替えがいつなのかも、そこには書かれていません。
堺市内の築30年前後の戸建てなら、この紙を読み返すのはたいてい秋です。最初の大雨のあと。
その調査が建物のどこを見ていて、どこを見ていないのか。不具合に気づいたときに売主へ言える期間がいつまでなのか。どちらも国が条文で決めています。
先に答えを書きます
建物状況調査が外まわりで見る範囲を、国土交通省令は2つに絞っています。1つは屋根と外壁、そしてそこに設ける戸やわくなどの建具。もう1つは、屋根や外壁の内部と屋内にある雨水の排水管です。
塗膜がどれだけ残っているか、次の塗り替えをいつにするかは、この制度が答えるものではありません。国土交通省も、標準媒介契約約款の改正で「建物状況調査の限界(瑕疵の有無を判定するものではないこと等)」を明記したと説明しています。瑕疵(かし)は、建物があるべき品質を欠いている状態のことです。
重要事項説明の「建物状況調査」は、外の何を見ているのか
宅地建物取引業法第35条第1項第6号の2は、既存の建物を売買するときに説明すべき事項として、次の2つを挙げています。
イ 建物状況調査(実施後国土交通省令で定める期間を経過していないものに限る。)を実施しているかどうか、及びこれを実施している場合におけるその結果の概要
ロ 設計図書、点検記録その他の建物の建築及び維持保全の状況に関する書類で国土交通省令で定めるものの保存の状況
宅地建物取引業法 第35条第1項第6号の2
その調査が建物のどこを見るのかは、宅地建物取引業法施行規則第15条の7に書いてあります。第2項が挙げる「雨水の浸入を防止する部分」は、この2つです。
一 住宅の屋根若しくは外壁又はこれらの開口部に設ける戸、わくその他の建具
二 雨水を排除するため住宅に設ける排水管のうち、当該住宅の屋根若しくは外壁の内部又は屋内にある部分
宅地建物取引業法施行規則 第15条の7第2項
同じ条文の第1項は「構造耐力上主要な部分」を挙げます。基礎、壁、柱、小屋組、土台、床版、屋根版など。建物を支える骨と、水を防ぐ皮。制度はこの2系統でできています。
調べる人にも条件があります。施行規則第15条の8によれば、建築士であって、国土交通大臣が定める講習を修了した者。調査は国土交通大臣が定める基準に従います。国土交通省はこれを「目視等を中心とする基礎的なインスペクション」と呼んでいます。
窓まわりの建具が対象なのは、そこが実際に水の入口になるからです。サッシの等級については窓からの雨漏りと水密性に書きました。
「実施あり」でも、雨漏りがないとは書いていません
調査結果の概要を読むと、劣化の事象があったかどうかが部位ごとに並んでいます。目視を中心にした調査で、その日その時点の状態を記録します。制度が引き受けているのは、そこまでです。
期限もあります。施行規則第16条の2の2は、重要事項説明の対象になる調査を「一年(鉄筋コンクリート造又は鉄骨鉄筋コンクリート造の共同住宅等にあつては、二年)」以内に実施したものと定めています。戸建てなら1年。3年前の調査報告書が家に残っていても、制度の上では説明の対象になりません。
そもそも、調査そのものは義務ではありません。宅地建物取引業者に課されているのは、調査を実施する者のあっせんに関する事項を媒介契約の書面へ記載すること、実施の有無と結果の概要を重要事項説明で伝えること、契約が成立したときに当事者双方が確認した事項を書面で交付すること。この3つです。調査を行うこと自体は入っていません。
だから「実施なし」に丸がついた中古住宅は、珍しくもなんともありません。
気づける期間に、法律が線を引いています
買ったあとで雨漏りが出たとき、売主に言えるかどうかには期間の決まりがあります。民法第566条です。
売主が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない目的物を買主に引き渡した場合において、買主がその不適合を知った時から一年以内にその旨を売主に通知しないときは、買主は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。
民法 第566条
起点は引き渡しの日ではなく、不適合を知った時です。この1年については、知らないまま過ぎた時間を数えません。
売主が不動産会社なら、もう1つ条文が働きます。宅地建物取引業法第40条は、宅地建物取引業者が自ら売主となる売買について、引渡しの日から2年以上となる特約をする場合を除き、民法第566条より買主に不利な特約をしてはならないと定めています。反する特約は無効です。
問題は、売主が前の住人だったときです。第40条は業者が売主のときの規定なので、個人間の売買にはかかりません。契約不適合責任を負わないという特約が置かれることもあります。売買契約書の該当条項を読んでおいてください。
堺で中古の戸建てを買ったら、最初の雨のあとに見る場所
引き渡しから数週間、晴れの日が続くことがあります。最初の本降りで、はじめて分かることがあります。
外を1周して見るのは、次の5か所です。
- 屋根:棟の板金の継ぎ目、瓦のずれ、板金を留めるビスの浮き。地上から望遠で撮れば足ります
- 外壁:板と板のつなぎ目に入っているシーリングの切れ、触ると手に白い粉が付くか、窓の四隅から斜めに走るひび
- ベランダ:排水口に落ち葉が詰まっていないか、床の立ち上がりの端、手すりの上にかぶせた金物の継ぎ目
- 室内:天井のシミ、押し入れの奥のにおい、階段下の壁紙の浮き
- 雨樋:雨の日にあふれた跡、金具のはずれ
手すりの上の金物は笠木といい、見落とされやすい入口です。笠木からの浸水に写真の撮り方まで書いています。
堺では、場所によって見る順番が変わります。堺区や西区の海寄りは、鉄部のサビが内陸より早く出ます(塩害が距離だけで決まらない理由)。南区の泉北ニュータウン周辺では、同じ地区でも入居の時期が10年以上ずれています(同じ泉北で修繕の時期が15年ずれる理由)。隣の家と築年数がそろっているとは限りません。
9月と10月は、秋雨前線と台風が重なります。買って最初の雨は、たいていこの時期に来ます。
前の所有者が残した紙が、次の10年を決めます
先に引いた第35条第1項第6号の2のロを、もう一度見てください。「設計図書、点検記録その他の建物の建築及び維持保全の状況に関する書類」の保存の状況も説明事項です。紙が残っているかどうかが問われます。
外装で効くのは塗装の履歴です。いつ、どの塗料で、何回塗ったか。前回が10年前で塗料の名前まで分かれば、次の塗り替えの見当はその場で付きます。
なければ壁を見て判断します。外壁材の種類と厚み、板の裏に空気の通り道があるかどうか。築25年を境に分かれるこの通気層の話はサイディングの反りと通気層に書きました。当社が手がけた大国住宅1号館外壁部分改修その他工事でも、最初にやるのは既存の壁が何でできているかを確かめる作業です。
契約書の束を、もう一度だけ開く
重要事項説明書の建物状況調査の欄と、売買契約書の契約不適合責任の条項。この2か所に付箋を貼っておきます。そのうえで、最初の大雨が上がった翌日に外を1周します。写真を撮っておけば、あとから比べられます。
株式会社KYOEIは、大阪府堺市西区堀上緑町2-2-15から、堺市7区と大阪府南部で外壁塗装、防水工事、大規模修繕、雨漏り修理に伺っています。買ったばかりの家で、どこから手を付けるべきか迷っているなら、屋根と外壁の写真を送ってもらえれば順番はお伝えできます。電話は072-349-3278です。