「床を塗り直せば防水は大丈夫」は本当?ベランダの壁ぎわ『立ち上がり』に国の基準が求める250ミリと、窓の下の120ミリ

皆さま、こんにちは!株式会社KYOEIです。

ベランダの床の防水を塗り直してもらって、まだ数年しかたっていない。それなのに、ベランダに面した部屋で、窓の下の壁紙がうっすら波打ってきた。床を見ても、ひびは見当たりません。気になって床と壁の境目をのぞき込むと、床から続く防水の膜が壁を少しだけ這い上がり、その上の端が黒ずんでいます。

床の防水が壁ぎわで折れ曲がり、壁を登っている部分を、防水工事では「立ち上がり」と呼びます。床ほど目に入らず、膜の切れ目が集まる場所です。この記事を読むと、国の基準が立ち上がりの高さに出している2つの数字と、自宅のベランダで確かめられる箇所が分かります。

先に答えを書きます

国土交通省が公開している住宅瑕疵担保責任保険の設計施工基準は、木造住宅のベランダについて、防水層を壁ぎわで250ミリ以上、窓などの開口部の下では120ミリ以上立ち上げるよう定めています。この数字は、見えている段差ではなく、防水層そのものの高さを指します。

床だけきれいに塗り直しても、立ち上がりの上端と窓の下が切れていれば、雨はそこから入ります。

立ち上がりは、防水の膜が「折れて、終わる」場所です

ベランダの防水層は、床を一枚の膜で覆う仕組みです。膜は床と壁の角で直角に折れ、壁を登り、どこかで終わります。折れる角(入隅)と、膜が終わる上端(端部)。膜に継ぎ目のできる場所が、この2つに集まっています。

床は平らに見えても、雨水が流れるように傾けてあります。基準の第8条第1項は、床に50分の1以上の勾配を求めています。1メートル進むと2センチ下がる傾きです。水は排水口へ向かいますが、強い雨の日には流れきらずに床に広がり、壁ぎわにも寄ります。

上からも水は来ます。壁を伝って流れ落ちる雨は、最後に立ち上がりの上端に行き着きます。

木造の家では、床の防水と壁の仕上げは別の材料です。床はFRP(ガラス繊維で補強した樹脂)やシートで、壁はサイディングやモルタル。材料が替わる境目は、どちらかが動けばすき間になります。基準が上端の処理として「防水テープやシーリング」を挙げているのは、この境目をふさぐためです。テープもシーリングも年数とともに硬くなり、痩せていきます。

手すり壁の上にかぶせた金物(笠木)も、同じ条文の第5項に出てきます。手すりの上の笠木が雨漏りの入口になる理由で書いたとおり、ここも立ち上がりと並ぶ入口です。

250ミリと120ミリは、どこを測った高さなのか

設計施工基準の第8条第3項は、次のとおりです。

壁面との取合い部(手すり壁又はパラペット(本条において、以下「手すり壁等」という。)との取合い部を含む。)の防水層は、開口部の下端で120㎜以上、それ以外の部分で250㎜以上立ち上げ、取合い部に防水テープやシーリングを用いるなど、適切な止水措置を施すものとする。

国土交通省「住宅瑕疵担保責任保険 設計施工基準」第8条第3項

この条文は、基準の「第2章 木造住宅」に置かれています。基準は2009年7月1日に施行され、2019年12月に改正されました。瑕疵保険に申し込む新築住宅は、この基準に沿って設計し、施工することになります。

保険法人の日本住宅保証検査機構(JIO)は、この数字について質問と回答の形で補足しています。250ミリと120ミリは防水層そのものの高さで、防水を先に施工してからサッシを取り付ける場合は、サッシの下枠の裏に立ち上がっている防水層も含めて数えます。

窓の下だけ低い理由を、基準の条文は書いていません。ただ、掃き出し窓の下に25センチの段差があれば、出入りのたびにまたぐことになります。

ところが、JIOは同じ回答の中で、開口部の下端は雨水が入りやすいと書いています。サッシの縦の枠を伝って流れ落ちた雨水が、下の枠へ回り込むためです。水が集まりやすい場所ほど、立ち上がりを低くせざるをえない。窓の下が要注意になるのは、この組み合わせのせいです。

鉄筋コンクリートの建物には、高さの数字がない

同じ基準の「第3章 鉄筋コンクリート造住宅及び鉄骨鉄筋コンクリート造住宅」には、屋上やベランダの防水層をどこまで立ち上げるかという数字が出てきません。代わりに、次のような決まりが並んでいます。

  • 第15条:パラペット(屋上の周りに立つ低い壁)の上端に、金属製の笠木を付けるなどの措置を施す
  • 第17条:防水の下地の勾配は50分の1以上。保護コンクリートで表面の水が流れやすい場合は100分の1以上
  • 第18条:排水口(ドレン)の寸法と数は、建設地での降水量の記録に基づいて決める

マンションや賃貸ビルの屋上とベランダでは、立ち上がりの高さが建物ごとの設計に任されているわけです。

第18条が「建設地の記録」と書いている点は、堺で建物を持つ人にとって具体的な話になります。気象庁の堺観測所では、1976年以降の1時間の降水量の最大が93.5ミリ(2008年9月5日)です。今年2026年6月26日にも53.5ミリを記録し、観測史上4位に入りました。

排水口がさばける量を雨が上回った瞬間、床の水位は上がります。そのとき水を止めているのは、立ち上がりの高さと上端の処理だけです。屋上の雨漏りが排水口から始まる理由でも書きましたが、排水口に落ち葉が詰まっていれば、この瞬間はもっと早く来ます。

自宅のベランダで見ておく場所

雨の上がった晴れた日に、次の箇所を見てください。

  • 立ち上がりの上端:防水の膜と壁のあいだに、すき間、はがれ、黒い筋がないか
  • 床と壁の角:膜が浮いていたり、しわが寄っていたりしないか
  • 掃き出し窓の下:サッシの下枠と防水の境目のシーリングが切れていないか
  • 排水口と、そこへ向かう溝:泥や落ち葉がたまっていないか
  • 手すりの上の笠木:継ぎ目のシーリングが痩せていないか

窓の下の段差を物差しで測って120ミリに届かなくても、それだけで基準を満たしていないとは言えません。サッシの裏で防水層が立ち上がっていれば、その分も高さに数えるからです。測った数字より、上端のすき間があるかどうかのほうが、雨漏りに直結します。

床の防水の塗り直しを頼むときは、見積書に床の面積と別に、立ち上がりの数量が書かれているかを見ておくと安心です。書かれていなければ、上端まで塗るのかどうかを工事の前に聞いてください。

新築から10年たっていない家なら、雨水の入り口の不具合を建てた会社に求められる場合があります。その期限については雨漏りを放置したときの費用と期限にまとめました。

床のきれいさより、壁ぎわの端を見てください

ベランダの防水は、床の色つやより、壁ぎわの立ち上がりの上端と窓の下で持ちが決まります。木造なら250ミリと120ミリという国の目安がありますが、数字は防水層そのものの高さなので、見た目の段差だけで判断はできません。上端のすき間、角の浮き、窓の下のシーリング切れを見つけたら、写真を撮っておいてください。

株式会社KYOEIは、大阪府堺市西区堀上緑町2-2-15を拠点に、堺市7区と大阪府南部で防水工事と雨漏り修理を行っています。施工実績にはUKビル屋上防水工事があります。

戸建てのベランダでも、マンションの屋上でも、立ち上がりの端はその場で見れば状態が分かります。窓の下の壁紙が気になりだしたら、072-349-3278へお電話ください。